『よくわかるiPhoneアプリ開発の教科書』
森巧尚・著
毎日コミュニケーションズ
2,940円
漠然としたタイトルの本ですね。その点はハッキリ言って失敗だと思います。
が、その内容はかなり有益ですよ。買って損のない本だと思います。
アプリケーションは下記の二つの側面に分けられますよね。
- 外見、つまりユーザインターフェイス
- 機能、つまりそのアプリ自身のはたらき
普通アプリ開発はコードをガリガリ書いておこなうわけですが、iOS アプリの場合、上記の一つめについてならコードでガリガリ書かなくても済ます方法があります。
Interface Builder なら、画面上にラベルやボタン、アラート、スライダー、スイッチなどの必要なパーツを配置する、という、視覚的かつ簡単なやり方で作ることができます。
この「Interface Builder を使えば、iPhone アプリの外面がこんなに簡単に作れますよ」という解説に特化したのがこの本です。
- ラベル、ボタン、アラートなどの基本パーツを個別にアプリに組み込む方法
- テーブルとセル
- 画面の表裏を切り替えるユーティリティ構造
- 複数画面を切り替えるタブ構造
- 画面をスライドで階層管理するナビゲーション構造
といった、アプリの外骨格の作り方が網羅されています。
他にも、UIImageView による画像の表示や、データのロードとセーブ。あるいは加速度センサーやロケーション、マッピングなど iPhone 特有の機能の解説もありますよ。
まぁアプリの外面に関してはこの本のサンプルを雛形にして済ますことも可能なわけで、アプリ開発の労力はかなり軽減化できるんじゃないでしょうか。
読んだ iOS アプリのプログラミング本はまだまだ少ないんですが、何か Interface Builder は邪道、アプリ開発はコードでフル・スクラッチすべき的な風潮があるっぽいですね iOS アプリって。
プログラム的にどのような過程を経て、ラベルやボタンなどユーザインターフェイスのパーツが配置され、どのコードで機能するようになるのか、ということを知っておくことも大切なことだと思います。一度はフル・スクラッチで組んでみることも必要かも知れません。
でも、開発元の Apple から Interface Builder ってもんが提供されていてですよ、それを使えばユーザインターフェイスがすっげー簡単に作れるってんなら、Interface Builder を積極的に使って労力を減らすというのは合理的なんじゃないでしょうか。
まぁバリバリのプログラマなら逆に Interface Builder めんどくせー、って可能性もあるかも知れませんが。
ところで、アプリ開発者によるオレオレユーザインターフェイスだと、どれがどんな機能を持つのか、たとえ瞬間とは言え悩む可能性があったりしませんか。さらには、どこをどうすればいいのか、まったく理解できないケースもあったりとかも。
でも、開発元の Apple が作ったインターフェイス・パーツが使われているアプリは、誰が組んだものだろうと迷うことなく使うことができます。
ほら iPhone アプリって、この「見ただけで何がどうなのかが瞬時に理解できる」ってとても大切じゃないですか。
ゆえに Apple 純正のユーザインターフェイス・パーツを積極的に使うことは「真善美」すべてを兼ね備えた行為だと思うんですよ。
そういったことからも Interface Builder を積極的に使われるべきものなんじゃないかと。
私も iOS アプリを組むときは Interface Builder を積極的に利用したいと思います。
ところで、この本は前述したとおり Interface Builder でアプリの外面を作ることだけに注力したものです。なので、一番最初に述べたアプリの側面の「機能」に関する部分は実質的に述べられていないも同然です。偏っていると言っちゃ偏ってますが、偏っているからこそ有益なわけです。
その点を認識したうえで読めば、かなり役に立つ本だと感じました。
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