『VOCA展 2011』

2011 / 03 / 20 by
Filed under: 展覧会日記 
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『VOCA展 2011』

『VOCA展 2011』

2011年3月19日(土)、上野の森美術館で標記展覧会を見てきました。
会期は2011年3月14日(月)~30日(水)だったんですが、東北大震災の影響でこの日がオープンの日だったようです。
今年の VOCA 展は個人的に心に残る作品が多く、見ていて、とても嬉しい展覧会でした。
以下、個人的に印象に残った作品について徒然なるままに。

「座標の地平」石塚源太

黒く塗りつぶされた円形の合板に、まるで夜空の星のように、ワッシャーが散りばめられています。
近寄って見ると、光の当たり具合によって、そのワッシャー同士が黒い直線でつながれているのがわかります。それはシャーペンの芯とのこと。個人的に心掴まれたのは、その黒い直線がドロネー三角形を構成していること。

「ひとつの」佐竹龍蔵

ざっくり言うと点描技法による絵画なんですが、その色のセレクションが個人的に好み。

「day dream #1」「day dream #2」阿部岳史

これは対象をとても荒いピクセルで捉えたような見栄えで、私が wonderfl に投稿した「何でもスーラ」「誰でもスーラ」を見てもらえると、そのイメージが伝わると思います。
この作品ではそのドットを、彩色したウッドキューブを並べることで表現しています。

以前オペラシティーアートギャラリーの project N で見たけど、その解説によると、写真をコンピュータに取り込み、それを荒いドットの画像に変換して、それをさらに彩色したウッドキューブに置き換えるという手順を踏んでいるとのこと。
コンピュータ部分は単なる技術に過ぎないので、それだけでは作品として成立しない。だから人間の手を介すことで「作品」にまで高めているつもりなんだろうけど、ムダ手間に過ぎない、というのが正直な感想。

「森の人 I」伊藤遠平

これも言ってみれば点描技法による絵画なんですが、その描かれている対象は具象ではありません。
茶系統の色を丹念に塗り重ねた結果、樹皮のような、あるいは滲みのような、何とも言えない快いカオスな模様になっています。

「あたま山」小池真奈美

パッと見、桜の木を囲んで浮かれている人々を描いた油彩画ですが、顔が識別できる人物が全員同じ女性の顔ということに即座に気づかされます。
おそらく作家の自画像なんでしょうが、ということは女装ポートレイター森村泰昌みたいなメンタリティの画家なんでしょうか。
ちなみに「あたま山」というタイトルですが、頭から桜の木が生えているような表現はされていません。

「より未来へ」熊澤未来子

「より未来へ」熊澤未来子

これは圧倒される! 鉛筆による巨大な細密画の前には、いつまでも佇んでいたくなる。
佳作賞受賞作品。

「とある熱を通り抜ける」上田暁子

「とある熱を通り抜ける」上田暁子

まるで夢の中の光景のような、とても幻想的な絵画。
楽しいような、寂しいような、恐ろしいような、実に多面的な見え方がする。見ているうちに心の中にじわじわじわじわと染みこんでくる、なんとも凄い作品。
大原美術館賞受賞作品。

その他にも、いろいろと目を惹く作品が目白押し。会期が短いのが残念だけれど、見て損のない展覧会だと思います。

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