『五百羅漢』

2011 / 05 / 23 by
Filed under: 展覧会日記 
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『五百羅漢』

『五百羅漢』

狩野一信の五百羅漢図は、以前、板橋区立美術館で開催された『諸国畸人伝』という展覧会で3点ばかり見たんですが、そのとき受けたインパクトは今でも忘れられない。その描込その画題その内容、一言でいえば「濃いキモ」。おおいに圧倒されました。
ところで五百羅漢図は芝増上寺秘蔵の仏画で全部で100幅から成るものなんだとか。複数1セットのものがある、と言われると、全部を見たくなる揃えたくなるのは人情というもの。
たった3点であれだけの衝撃を受けたんです。全部見ることができたら、どんだけ心的ダメージを被るだろうか。これは体験してみたいもんですよ、と思っていたところ、両国は江戸東京博物館で五百羅漢図全100幅ご開帳という快挙の報が、今年の初めだったかに入ってきました。

これはスゴい、期待せざるを得ない、と思っていたところ、東北大震災の影響で予定どおり展示ができないことになり、非常に残念に思っていたんですが、当局の皆様のご尽力で、改めて、2011年4月29日(金)~7月3日(日)の会期で無事開催されることになりました。よかったよかった。

そんな期待に胸膨らむ標記展覧会を2011年5月21日(土)に見てきました。いやぁ実に素晴らしかった。


『五百羅漢』

『五百羅漢』

前半の作品は、きっと絵師として脂の乗った時期だったんでしょう。
力強く大胆な払いがあるかと思えば、袈裟の模様などに見られる繊細な線もあるという、変幻自在な筆遣い。
幕末に描かれたものであるはずなのに、褪せていない藍色と朱色が目を惹くド派手で美しい色遣い。
そして過剰なまでの描きこみには胸焼けがしそうになります。とても強い印象を残す素晴らしい絵でした。

しかしながら、81幅当たりから何となく衰えが見えてきます。91幅からは人物がかなり小さくなり全体的にかなり薄味です。最後の4幅は狩野一信は物故しており、妻と弟子が完成させたものだそうですが、線にしても構図にしても色にしても、もうスカスカで涙なくしては見られない。
諸行無常ってのはこういうことを言うんでしょうか。

ところで会場のキャプションでひとつ気になった点が。

第61幅「禽獣」で耳掻きされている動物が描かれています。
キャプションでは「一角獣と鹿を合体させたような動物」と説明され、種名が記載されていませんが、これは「麒麟」だと思うんですが、どうですかねぇ。
まぁ麒麟ってのは顔は龍だし、偶蹄(二つ)だしで、描かれた動物との相違点はありますよ。でも独角である点と体が鱗で覆われている点を考えると、これは麒麟だと思うんですが、どうでしょうかねぇ。

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