『竹内栖鳳 ―京都画壇の画家たち―』
いつだったでしょう。「班猫」という題名の絵があると知ったのは。
何! ハンミョウ?! あの美しい鞘翅目の昆虫を描いた絵があるのか!
あの獰猛な昆虫のどのような姿態をとらえているのだろう、あの青や赤に輝く鞘翅がどのように彩色されているんだろう、ぜひ観てみたいなぁ。
などと、この大空に妄想の翼広げ飛んで行ってしまった、かつての私です(ハンミョウの漢字表記は「斑猫」だということをすっかり失念していたのが敗因)。
実はその絵、「はんみょう」ではなく「はんびょう」と読み、猫を描いたものだということを知って、おおいに意気消沈してしまったわけですが、それは早とちり。ずいぶん味わい深い素敵な日本画なのでした。
その「班猫」の現物が展示されていたのが2012年9月29日(土)~11月25日(日)の会期でおこなわれていた標記展覧会。会場は山種美術館。
終了間際の2012年11月24日(土)に滑り込みで観てきました。
ところで「班」という文字には「斑」の意味もあるんですかね。ぶち猫を描いた絵ということなら「斑猫」という表記になると思うんですが。
『もうひとつの川村清雄展』
両国で『維新の洋画家-川村清雄』を観たら、もう居ても立ってもいられなくなり、山手線でみると正反対に近い場所になる目黒駅に向かいました。
なぜ目黒か。
これまた TL で仕入れた情報ですが、目黒区美術館で2012年10月20日(土)~2012年12月16日(日)の会期で標記展覧会が開催されているからです。
題名のとおり、こちらでも川村清雄作品が展示されています。
両国の展覧会では、川村清雄の画業のみならず、その経歴の紹介にも力が注がれており、絵画作品の他、家系に関するアイテムや留学に係る書状、留学時に得た表彰状などの展示で、その人となりが概観できるようになっていました。
そして、両国では一切触れられていなかったように思うんですが、川村清雄という人は油彩画家であるとともに、装丁家として活躍した人でもあったという。目黒の展覧会は、その装丁家としての川村清雄の仕事も紹介されています。
つまり両国と目黒の両方を観ることで、川村清雄という人の業績を、複眼的というか立体的と言うか、より深く理解することができる構成になっているわけですね。目黒区美術館グッジョブ!
『維新の洋画家 -川村清雄』
2012年11月23日(金)、江戸東京博物館に標記展覧会を観に行きました。
当初、あまり興味がなかった本展ですが、Twitter の TL でずいぶん評判が良かったのと、日曜美術館アートシーンで紹介されていたのを見て、これはちょっと観といた方がいいかも、と考え直した次第。
で、実際に訪れてみて、観といて良かったと切実に感じました。日本にはスゴイ画家がいたんですねぇ。
突拍子もないと思われるかも知れませんが、展示された数々の絵を観ていて、スチームパンクを想起しました。
あり得たかも知れない日本油彩画の未来を観た、とでも言いますか。
『出雲 聖地の至宝』
中国の至宝を堪能した後は、日本の至宝を堪能する。
というわけで引き続き、トーハクの本館で開催されている標記展覧会を観ました。会期は2012年10月10日(水)~2012年11月25日(日)。
本展は、古事記や風土記、神像などといった神話的側面と、出雲各地で出土した銅鐸や銅剣、戈などの文物による史実的側面の二つから出雲を観る、という構成になっています。
今回の目玉は、出雲の地から初めて外地に出たという宇豆柱でしょうかねぇ、やはり。
しかし個人的には、出雲神社社殿の本来の姿を再現した1/10スケールの模型に惹かれました。長く高い階段の先にある社。その高さは48メートルと推定されているとか。この巨大な社殿は御霊信仰の現れですよね。
『中国 王朝の至宝』
2012年11月14日(水)、現在トーハク平成館で開催されている標記展覧会を観てきました。会期は2012年10月10日(水)~2012年12月24日(月)。
こないだブロガー対象で夜間特別内覧会をおこなっていましたが、平日なので参加できず。悔しいから別の日に有給取って金払って観てきたったわ。がっはっは(涙目)。
さて、一言に中国と言っても、広い広い土地と長い長い歴史があります。数多くの民族、数多くの国家が勃興・滅亡を繰り返し、多様な文化が育まれました。そんな、中国大陸で花開いた文化を時代ごとに分け、それぞれの時代を代表する二つの対照的な文化を比較することで、いかに多種多様な文化が花開いたかを知ることができるようになっている、実に興味深い展示構成です。