『竹内栖鳳 ―京都画壇の画家たち―』

2012 / 11 / 29 by
Filed under: 展覧会日記 
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『竹内栖鳳 ―京都画壇の画家たち―』

『竹内栖鳳 ―京都画壇の画家たち―』

いつだったでしょう。「班猫」という題名の絵があると知ったのは。

ハンミョウ

ハンミョウ

何! ハンミョウ?! あの美しい鞘翅目の昆虫を描いた絵があるのか!
あの獰猛な昆虫のどのような姿態をとらえているのだろう、あの青や赤に輝く鞘翅がどのように彩色されているんだろう、ぜひ観てみたいなぁ。
などと、この大空に妄想の翼広げ飛んで行ってしまった、かつての私です(ハンミョウの漢字表記は「斑猫」だということをすっかり失念していたのが敗因)。

実はその絵、「はんみょう」ではなく「はんびょう」と読み、猫を描いたものだということを知って、おおいに意気消沈してしまったわけですが、それは早とちり。ずいぶん味わい深い素敵な日本画なのでした。

その「班猫」の現物が展示されていたのが2012年9月29日(土)~11月25日(日)の会期でおこなわれていた標記展覧会。会場は山種美術館。

終了間際の2012年11月24日(土)に滑り込みで観てきました。
ところで「班」という文字には「斑」の意味もあるんですかね。ぶち猫を描いた絵ということなら「斑猫」という表記になると思うんですが。

日本画といえば写生ですが、「緑池」のトノサマガエル、「艶陽」のシマヘビ、「百騒一睡」左隻の群れるスズメ、そして「班猫」の三毛猫。
まるで写真をトレースしたかのようなそれら小動物の生き生きとした姿は実に素晴らしいです。
もちろん写真トレースなんぞではなく、一人の偉大な才能が描き出した画であることは、決して現実をそのまま描いたものではない「班猫」を観れば分ります。

過日、NHKBS「極上美の饗宴」でも取り上げられていましたが、この猫、肩と首と頭のつながりが不自然です。これは要するに、猫版「グランド・オダリスク」。

グランド・オダリスク

グランド・オダリスク

グランド・オダリスク」も、描き手であるアングルが美しいと感じたラインを組み合わせた、デッサン的には狂っているけど、描き手的には美を追求した絵画。で、この考え方を突き詰めた先にあるのがキュビスムであると。

「グランド・オダリスク」はパッと見、明らかに変なだなぁ、という印象を受けましたが、この「班猫」はパッと見、あまり変な印象を受けなかったんですよねー。竹内栖鳳の技量は、ただ写実力がスゴい、というだけではないんでしょう。今回、その現物をおおいに堪能してきたわけです。いやあ良かった実に良かった。

次はいつ観られるか分からないということなので、図録と絵はがきも買っちゃいました。

小動物系以外では、第2展示室にあった「絵になる最初」ですねぇ。この若い恥じらいが実に色っぽくて萌える!



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