『はじまりは国芳』
2011年は歌川国芳の没後120年、2012年は月岡芳年の没後120年ということで、歌川国芳や月岡芳年の回顧展が何件か開催されました。そんな被りネタっぽくありながらも、他の先行展覧会とは一味違うのが、横浜美術館で開催された標記展覧会です。
会期は、2012年11月3日(土)~2012年12月5日(水)が前期、2012年12月7日(金)~2013年1月14日(月)が後期の2期制。
前期を2012年11月23日(金)、後期を2013年1月12日(土)に観てきました。
入り口正面から見えるのは「相馬の古内裏」ではありませんか! その隣には「源頼光館土蜘蛛妖怪図」がある! 町のお化け好きとしてはもうテンション上がる上がる! うひょー!
なお後期は「宮本武蔵の鯨退治」「鬼若丸の鯉退治」と国芳の三枚続の大判画に展示替え。これまたド迫力のお出迎えに掴みがオッケー過ぎる。
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『美術にぶるっ! 第2部 実験場1950s』
『美術にぶるっ!』という展覧会は、東京国立近代美術館開設60周年を記念して、東近美所蔵品によって編成された、建物の4階から1階まですべてを使った企画展と聞いていました。
しかし1階『第2部 実験場1950s』の第2章早々、鶴岡政彦「重い手」が展示されてて面食ったですよ。
えっ、「重い手」って東京都現代美術館所蔵だよね?
ラベルやリストを見ると、やっぱり都現美所蔵と書いてある。MOMAT じゃなくて MOT じゃん。
他の展示作品についてもリストを見ると、東近美所蔵品だけでなく、日本中のあちこちの美術館や個人から作品が集められているじゃあありませんか。
第1章で展示されていた写真群は、ストレート過ぎる反戦メッセージが好みでないから、作品もリストも見ずに、チラシすら取らずに通過したんで、この時点で初めて気づいたっす(後で戻ってチラシだけは入手しました)。
つまり、この『第2部 実験場1950s』は、東近美にとどまらず、あちらこちらから集められた作品によって、1950年代のアート・ムーブメントを概観するというものだったのですね。
だとすると、この『美術にぶるっ!』を構成する二部は、それぞれ別の展覧会と捉えるべきじゃあないですかね。
そう考えると、1階で企画展(第2部 実験場1950s)、4階から2階で常設展(第1部 MOMAT コレクションスペシャル)という、ふだんの東近美と同じスタイルだったわけだ。
『美術にぶるっ! 第1部 MOMAT コレクションスペシャル』
その展覧会の会期は2012年10月16日(火)~2013年1月14日(月)。行かねば行かねばと思いつつ、やっと年も明けた2013年1月5日(土)に行ってきました標記展覧会。またまた滑り込みの鑑賞です。
で、二部構成になっているこの展覧会のうち、本稿はその第1部について。
東近美は4階から2階で常設展がおこなわれていますが、今回は開設60周年を記念して常設フロアを大改装、そして60年間に収集した選りすぐりの名品ばかりを展示するという。そんなとてもゴージャスな展覧会が『第1部 MOMAT コレクションスペシャル』なわけです。
もうすべこべ言わずに観ろ、って感じですよねこの圧倒感。なので、今回の展示品で惹かれたもののご紹介にとどめます。
『白隠展』
2012年12月29日(土)は bunkamura ザ・ミュージアムで標記展覧会も観てきました。会期は2012年12月22日(土)~2013年2月24日(日)。
白隠ってけっこう有名な坊さんだと思うんだけどなぁ。
「有名な僧侶だけど、絵をたくさん残していたことはあまり知られていない」の前段を省いたってことなのかも知れないけれど、2012年12月23日に放映された日曜美術館をはじめとして、本展覧会の前情報に触れるたびに、教科書に載ってないとか無名とか埋もれていたとか、そういう話ばっかりで、ずいぶんと違和感を感じてました。
で、本展の話ですが、禅画を観るつもりで身構えていたら、釈迦や観音、達磨などが続く。これ禅画じゃなくて仏画でしょう。
挙句の果てに七福神や関羽、白澤、そして戯画。すげー肩すかし。最後の最後でやっと円相が2枚出てきて、そこでほっとした次第。
禅画より仏画がメインじゃないですか。あと人生訓とかの戯画。これは禅の思想とか仏の教えとか悟りとか、そういった仏教的なレベルなものではなく、もっと庶民感情に密着したもので、禅画とは言えないんじゃないでしょうか。禅僧が書いた絵はすべて禅画ってわけじゃないですよねぇ。
『メトロポリタン美術館展』
2012年12月29日(土)は東京都美術館で標記展覧会を滑り込みで観てきました。会期は2012年10月6日(土)~ 2013年1月4日(金)。
美術館のというよりはむしろ、博物館の展覧会といった趣でしたなぁ。
絵画や写真、工芸と同じくらいのボリュームで古代遺物系の展示物が並んでいるその空間は、悪いということではありませんが、何か奇妙な違和感を醸し出していたように思えました。
まぁアメリカは歴史コンプレックスがありますからねぇ。
と、言いつつも、本展で興味を惹かれたのは、絵画群よりも古代遺物群なんですけどね。
以下、心に残った展示物について徒然なるままに。