『白隠展』

2013 / 01 / 08 by
Filed under: 展覧会日記 
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『白隠展』

『白隠展』

2012年12月29日(土)は bunkamura ザ・ミュージアムで標記展覧会も観てきました。会期は2012年12月22日(土)~2013年2月24日(日)。

白隠ってけっこう有名な坊さんだと思うんだけどなぁ。

「有名な僧侶だけど、絵をたくさん残していたことはあまり知られていない」の前段を省いたってことなのかも知れないけれど、2012年12月23日に放映された日曜美術館をはじめとして、本展覧会の前情報に触れるたびに、教科書に載ってないとか無名とか埋もれていたとか、そういう話ばっかりで、ずいぶんと違和感を感じてました。

で、本展の話ですが、禅画を観るつもりで身構えていたら、釈迦や観音、達磨などが続く。これ禅画じゃなくて仏画でしょう。
挙句の果てに七福神や関羽、白澤、そして戯画。すげー肩すかし。最後の最後でやっと円相が2枚出てきて、そこでほっとした次第。

禅画より仏画がメインじゃないですか。あと人生訓とかの戯画。これは禅の思想とか仏の教えとか悟りとか、そういった仏教的なレベルなものではなく、もっと庶民感情に密着したもので、禅画とは言えないんじゃないでしょうか。禅僧が書いた絵はすべて禅画ってわけじゃないですよねぇ。

まぁメビウスの輪ってのは、かなり禅っぽいと思うので、あれは好かった。
でももうちょっと禅の公案っぽい絵も観てみたかったもんです。そのものズバリなのは、他ならぬ白隠創案による「隻手の声」だけだったし。

あとヘタウマ系好きじゃないんで、あ、ちょっと失敗したかもしんない、って感じも受けた。

グラフィック・デザインとして目を惹いたのは「百寿福禄寿」。
横10行×縦13列のグリッド、その中央部に30個分スペースを空けてあるため、都合100個の「壽」という文字が全部異なる書体で書いてある。その文字は交互に太い線と細い線で書かれており、遠くから見ると市松模様のように見える。これは視覚効果的な面白さを感じました。

それはともかく私は主張したい。
白隠ばっかりチヤホヤしないで、たまには仙厓のことも思い出してあげてください。

仙厓コレクションを誇る出光美術館では、2013年9月21日(土)~11月4日(月)の会期で『日本の美・発見VIII 仙厓と禅の世界』という特別展が開催されるとのこと。
出光美術館はこの仙厓展を『白隠展』の会期にぶつければよかったのにね。禅僧による絵の展覧会ってことで相乗効果を生んで、どちらももっと話題になったんじゃないかと愚行する次第。

あと、宗派もメディウムも違うけど、ひとりの僧をフィーチャーリングした展覧会としては、2013年1月12日(土)~4月7日(日)の会期でトーハクでおこなわれる『飛騨の円空』も見過ごせない。円空の木彫仏像もパッと見はユルい感じなので、その点は白隠や仙厓と共通項なんではないでしょうか。



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