『メトロポリタン美術館展』

2013 / 01 / 07 by
Filed under: 展覧会日記 
Bookmark this on Delicious
[`livedoor` not found]
[`yahoo` not found]

『メトロポリタン美術館展』

『メトロポリタン美術館展』

2012年12月29日(土)は東京都美術館で標記展覧会を滑り込みで観てきました。会期は2012年10月6日(土)~ 2013年1月4日(金)。

美術館のというよりはむしろ、博物館の展覧会といった趣でしたなぁ。
絵画や写真、工芸と同じくらいのボリュームで古代遺物系の展示物が並んでいるその空間は、悪いということではありませんが、何か奇妙な違和感を醸し出していたように思えました。
まぁアメリカは歴史コンプレックスがありますからねぇ。
と、言いつつも、本展で興味を惹かれたのは、絵画群よりも古代遺物群なんですけどね。

以下、心に残った展示物について徒然なるままに。

現代彫刻だと言われても納得してしまうその造形。「馬の小像」の斬新さには眼を瞠らされた。

豹の小像」はなぜこんなヘンなポーズなのか。元々は乳を飲む子豹の像でも付属していたんですかねぇ。

後脚で立つ馬の小像」は、この傾斜で自立してるんですかね。物理的にムリな感じがするんですが、上半身が中空で下半身が詰まっている状態なんでしょうか。

ハイビスカスとオウムの窓」はステンドグラス様のガラス工芸。青いオウムの、その羽根のグラデーションが実に美しい。

今回の展示物で最も美しいものはやはりこれでしょう。「ガラス花瓶の花束」。描いたのはニコラース・ファン・フェーレンダール。とにかく花が美しい。

花形の花器」は一体どうなっているんでしょう。たぶん単なる上からのライティングなんだろうと思うんですが、なぜか、花器の中に電球を仕込んであるかのように、その底部が光を放っています。

今回の目玉であるゴッホの「糸杉」は実に迫力のある絵です。そのマチエールからは、ものすごい執念が照射されていて、圧倒されます。

点描法に目のない私としては、「海辺の松の木」の前でも足が止まった。描いたのはアンリ=エドモン・クロス。私不勉強でこの画家を知りませんでした。

とりわけ巧いというわけでもないと思うんですが、なぜかエドワード・ホッパーには目を惹かれますね。「トゥーライツの灯台」でも立ち止まってしまった。

その隣にあったジョージア・オキーフの「骨盤II」は、骨盤の穴越しに空を見透かすといった感じの絵。骨盤の白と空の水色がどちらもクリアで美しいです。メトロポリタン美術館公式サイトのコレクションページで見られるのはモノクロ写真なのですばらしさが充分伝わらないのが残念。
http://www.wikipaintings.org/en/georgia-o-keeffe/pelvis-2http://www.flickr.com/photos/bayernyc/692403736/ ではカラー写真が見られます。

タコのあぶみ壺」はその表面に描かれた蛸の造形が面白い。蛸というよりむしろ蜘蛛といった感じ。一番初めに触れた「馬の小像」といい、これといい、ギリシア文明期の工芸は動物の表現がユニークですね。

カエルかわいいよカエル。カエルはいくつかありましたが、まずはこれをチョイス。「子どもを背中にのせたヒキガエル」に萌えました。

水の生物の大皿」は実用ではなく鑑賞用のものなんですかね。皿の底から縁から何から、水中に棲むあらゆる動物たちが配置されているんですが、その造形が実に写実的で目を瞠る。

ティファニーのものだという「カエルのモチーフの盆」という銀盆。そこに描かれているのは、浮世絵そのままの月夜とカエル。

個人的にはクロード・モネの描く絵画は、あまり動きのない静かなものという印象しかありませんでした。
しかしこの「マヌポルト(エトルタ)」という絵は、岩に波が砕け散る様が荒々しく力強い。
タッチは確かにモネですが、モチーフが個人的にはモネっぽくない感じで、ちょっと新鮮でした。
マヌポルトというのは、この絵に描かれたアーチ状に浸食された岩だそうで、エトルタという場所にあるとのこと。そしてモネはマヌポルトもエトルタも気に入って、何枚か絵を残したらしい。
そしてそのうちの1枚が、2013年2月9日(土)~5月26日(日)の会期で三菱一号館美術館で開催される『奇跡のクラーク・コレクション展』で見られるとのこと。タイトルは「エトルタの断崖」。
これは三菱地所にクラコレ観に行かんとイカン。



Comments

Tell me what you're thinking...
and oh, if you want a pic to show with your comment, go get a gravatar!





WP-SpamFree by Pole Position Marketing