『トリック&ユーモア展』

2011 / 09 / 13 by
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『トリック&ユーモア展』

『トリック&ユーモア展』

2011年9月11日(日)は横須賀美術館で標記展覧会を観ました。

騙し絵や錯視を利用した視覚的に驚きをもたらす仕掛けの作品、あるいは、戯れ絵や判じ絵といったユーモラスな絵といったものが以下の5章に分類されています。

  1. トリックがみちびく迷宮 ―M.C.エッシャーの世界
  2. 日本絵画の中のあそび
  3. まどわしの世界 ―シュルレアリストの方法
  4. さまよう視線 ―知覚と美術と、ユーモア
  5. 絵、それとも写真? ―リアリズムの諸相

捕捉を加えると。
第2章は日本絵画というよりは江戸絵画と呼ぶべきですね、国芳や広重といった浮世絵師の作品。
第4章は福田繁雄のポスターや立体から高松次郎の影、果てはオプ・アートと、ごった煮というかメチャクチャというか何でもありというか。
第5章は細密画。

本展覧会の会期は2011年9月10日(土)~11月6日(日)。開始二日目に行ったわけですが、いやー混んでましたねー。日曜日とは言え、横須賀美術館の企画展としては驚くほどに混雑していた印象。
なんでも開始二日間の入場者が、当美術館史上、三番目の動員だったんだとか。それだけ一般受けする企画だってことですね。鑑賞者は絵を見ながら、それぞれの仕掛けを解説しあったり、仕掛けに驚嘆していたり、かなり楽しそうでした。

横須賀美術館の独自企画展としてはかなりがんばってんじゃないでしょうか。
前回の『集まれ!おもしろどうぶつ展』もかなり好感触だったらしいしな(見てないけど)。

でも一般受けを狙い過ぎたせいか、それともやっぱり予算の問題なのか、全体通して観ると、いまいち纏まり感に欠ける気もします。だいたい最後の細密画はトリックでもユーモアでも何でもねぇじゃんか。とは言え、美術館としては入館料を払ってくれる客が増えるに越したことはないわけで、これはこれで良いことなんでしょう。

まぁ私はエッシャーだけが目当てだったんで、他のは儲けもの感覚で観たので文句言う筋合いでもない。

エッシャーの作品は、タイリングや不可能立体、透視法の攪乱など、いくつかのタイプに分類できますね。
個人的には「円の極限IV(天国と地獄)」のポアンカレ円盤モデルをモチーフにした作品を見たかったんですが、展覧会の方向性には合致しないんで展示されてなかったなぁ。予想どおりですがちょっと残念。
その分、無限階段(ペンローズの階段)や永久の滝といったメジャーな作品群を堪能しました。

しかしこの展覧会、展示替えがあるとのこと。エッシャー作品は12点展示されていましたが、そのうち半分が入れ替わるとのこと。しかも「扁平虫類」が後期に展示とは! もっぺん行かにゃイカンじゃないの。
ちなみにこの「扁平虫類」で描かれているのは地獄の再生能力者プラナリアというキモキモ生物です。

エッシャー以外で目を惹いたのは第2章で展示されていた鞘絵という種類の作品。

歌川芳虎「風流さや絵(花魁)」、桜寧斎「鏡中図」の二つの絵と「鞘絵皿」という皿がありました。
鞘絵ってのは刀の鞘に絵を反射させて見ると正常な絵に見える歪んだ絵、という意味だそうです。

子ども向けの雑誌なんかでよくあったでしょう。何か丸く歪んだ絵の真ん中あたりに円が描いてあって、そこにアルミ箔を巻いた筒を立てて反射像を見るってトリック絵画。アレです。円筒形アナモルフォーズ(歪像画)ってのが一般的な名称らしい。
この鞘絵、何でもオランダ由来で江戸中期に流行したんだとか。そんな時期から日本にあったんだコレ、と驚いた次第。

ただ残念なのはその展示。
皿には円筒形のガラスが置いてあって、反射像を見ることができましたが、絵の方は、絵のみを展示している状態で、反射させて正常な像はどのように見えるのかが分かりませんでした。



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