『マウリッツハイス美術館展』

2012 / 09 / 10 by
Filed under: 展覧会日記 
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『マウリッツハイス美術館展』

『マウリッツハイス美術館展』

話題の標記展覧会をやっと観てきました。
2012年6月30日(土)~9月17日(月)の会期のところ、終了間際の2012年9月8日(土)に行った次第。

ロシアのエルミタージュ美術館(国新美、会期:2012年4月25日~7月16日)、ドイツのベルリン国立美術館群(国西美、会期:2012年6月13日~9月17日)、フランスのストラスブール美術館群(横須賀美、会期:2012年7月21日~9月2日)と、各国の美術館展が今年は開催されてきましたが、今回のはオランダの美術館展ですね。
残すは、本展と同じ会場、東京都美術館で開催されるアメリカのメトロポリタン美術館(会期:2012年10月6日~2013年1月4日)。

東京都美術館は長いこと改修工事でクローズしてましたが、そのリニューアルオープン記念がこの展覧会。目玉はフェルメール「真珠の耳飾りの少女」。

奇しくも、ほぼ同じ会期でおこなわれている『ベルリン国立美術館展』でもフェルメールの、しかもタイトルが一文字違いの作品「真珠の首飾りの少女」が展示されており、上野フェルメール対決だなんて下世話な話題ものぼりました。

ところで私、確か改修前の最後の展覧会『ボルゲーゼ美術館展』(会期:2010年1月16日~4月4日)のときだったんじゃないかと記憶してるんですが、東京都美術館に「真珠の耳飾りの少女」が来る、という話題はずいぶん前に仕入れており、とても楽しみしてました。
ところが実際に観てみると、展覧会自体の満足度はけっこう低い。展示物自体が悪いわけではもちろんなく、これは主催者である朝日新聞社の宣伝の仕方の問題から、このような険悪な雰囲気の会場になってしまったんだろうなぁという印象を受けました。

だいたい「真珠の耳飾りの少女」だけをフィーチャリングし過ぎ。

画家および作品自体の知名度の高さ、そして観目麗しい少女のトローニーという作品自体の美しさは実にキャッチー。ふだん美術館に訪れそうもない客層にもリーチする、絵画のスーパーアイドルだというのは分ります。
でもさぁ、現存数37枚というフェルメール作品のうち、もう1点「ディアナとニンフたち」という絵も来ていて、合わせて2点も来てるじゃないですかこの展覧会。これは驚異的なことじゃないですかね。
国西美の「真珠の首飾りの少女」を合わせると3点ものフェルメール作品が東京の、しかも上野という場所に集中して存在しているんですよ。これはもう奇跡と呼んで差支えないと思うが如何か。

それにレンブラント。若年期から円熟期までが通覧できる5点が来てるじゃないですか。
これも凄いことだと思うですかが如何か。

展示点数自体は48点と少ないですが、決して少ないとは感じさせない絵画群の存在感は圧倒的です。その点をもっと強調してもバチ当たらんと思うが如何か。

でもまぁ、美術についてあまり興味のないライト層に訴えかけるには「真珠の耳飾りの少女」豪華一点主義ってやり方がベストなのかも知れませんねぇ。実際んとこ連日押すな押すなの大盛況なんですから図に当たったわけですしねぇ。広報部としては笑いが止まらんでしょうなぁ。金が儲かれば勝ちですよね。

それはさておき、そんな殺人的な展覧会だから、会場内も激混みなわけで、それぞれの絵を近くによってじっくり観る時間をあまり長く取ることができない。それがかなりフラストレーション溜まる。もっとも油彩画はあまり間近で観るもんじゃないので、あまりそのことで腹を立てる私も器が小さいというもの。

間近で観るもんじゃないと言えば「真珠の耳飾りの少女」のキューには並ぶ必要ないですよ。
私、20分ほど並びましたが失敗したなぁと思いました。歩いて通り過ぎるよう指示されているから、立ち止まって、絵のひび割れ具合とか確認できないし。まぁこの絵は修復されて間がないので、そんな傷みは目立たんでしょう。
最前列の後ろ、ちょっと離れた部分はいくらでもじっくり見てられるので、そっちに真っ先に並んだ方が遥かに良いです。

「真珠の耳飾りの少女」についての印象は、意外と大きな絵だな、ということ。みんな小さい小さい言い過ぎ。フェルメールの絵は、元々そんなに大きくないじゃないですか。

フェルメールやレンブラントといった有名どころはさて置き、1点特に印象に残った絵がありました。
それはアードリアーン・コールテという画家による「5つのアンズのある静物」という作品。
アンズの実の赤橙色、にこ毛の柔らかそうな様子が実に美しい。
そして果実を付けた枝葉が、まるでシャープ化の画像処理をかけたかのようにクッキリ、しっかりと描かれていて、実に硬い感じ。実の柔らかさと葉の硬さの対比も面白いものでした。



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