『特撮博物館』

2012 / 10 / 04 by
Filed under: 展覧会日記 
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『特撮博物館』

『特撮博物館』

なぜか特撮関係の展覧会が首都圏で3つも開催される2012年日本の夏。
以前そのうちのひとつ、埼玉県立近代美術館で開催された『ウルトラマン・アート!』(会期:2012年7月7日~9月2日)について書きました。
今回はその二つめ、2012年7月10日(火)~10月8日(月)の会期でおこなわれている標記展覧会を2012年9月26日(水)に観てきました。会場は東京都現代美術館。

東宝、大映(現・角川)、円谷プロ、ピープロと制作会社をまたがり、マスク、着ぐるみ、ミニチュア、電飾といった造形や、操演や火薬、破壊、特殊効果などの各種技術、そして背景美術に合成撮影技法などなどなど…… 特撮のすべてを網羅せんと試みた意欲的な展覧会。よくぞまぁここまで揃えたものだ、と関係諸氏の特撮にかける熱意と愛情には感嘆いたします。

が、その特撮通史という性格上、そしてあまりの展示品の豊富さゆえ、観ている側としては焦点が絞れず、展示物は充実しているにもかかわらず、なんとなく散漫な印象が残ってしまう。その点では先に観た『ウルトラマン・アート!』の方が、ぎゅっと詰まってた感は高いように思えます。

しかし、本展を企画した関係者の方々の真の目的は、日本の伝統芸と呼んで差支えない「ミニチュア特撮」の存続なので、とにかく観客を圧倒させればいいのだということに気づきました。

それを思い知らせてくれるのが、新作映像「巨神兵東京に現る」(もちろんタイトルの元ネタは「宇宙人東京に現る」です)。
スゴい、とため息しか出ない圧倒的なすばらしさ。手仕事の重みを再認識させてくれます。
なぜか分らないけど、CG合成画面って、軽く感じるんですよねー。効率重視のCGは悪い、苦労する手仕事が最高、などとは思いませんが、「スパイキッズ2」を観た時に感じたCGの弱さ、ハリーハウゼン映画の手仕事ゆえの力強さを「巨神兵東京に現る」でも感じました。

「巨神兵東京に現る」の映像、どこを取ってもすばらしいんですが、個人的には、巨神兵出現前、予兆的に街中を漂うオレンジ色の光の粒の舞い方が、とりわけ美しく感じました。
後の展示室で見ることができるメイキングによると、発泡スチロールを細かく砕いて扇風機の風で煽っていたとのこと。物理空間に存在するパーティクルが現実の風の流動したときの美しさを再認識。

あとメイキングで驚いたのは巨神兵の動かし方。
どう見ても人が入れる着ぐるみのプロポーションじゃないなぁ、操演であんな滑らかな動きができるとは思えないしなぁ、と思っていたら、まさかあのような動かし方をしているとは! 驚きとともに感嘆いたしました。

そして特撮といえば破壊。
破壊こそが特撮の目的と言っても過言ではないでしょう。なかでもビル倒壊の美しさがその作品の出来不出来を決めると言っても、これまた過言ではない。
「巨神兵東京に現る」では、ビル破壊の新しいテクニックがふたつ導入されているという。それがどちらも実にダイナミックで美しく、これまた感嘆の一言。

この映像を観た子供たちから、ひとりでも特撮を生業にする人材が出てくれれば、企画関係者の方々は満足なんでしょうね。そんなことがヒシヒシと伝わってくる映像でした。

ところでこの「巨神兵東京に現る」の本編とメイキング、DVD発売されるんですかねぇ。ぜひとも入手したいところ。

内引きセット

内引きセット

せせこましい家並み

せせこましい家並み

へし折れた東京タワー

へし折れた東京タワー



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