『マン・レイ展』

2010 / 08 / 15 by
Filed under: 展覧会日記 
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『マン・レイ展』

『マン・レイ展』

私がシュルレアリスムに傾倒するようになったきっかけは、子ども時代に家にあった百科事典です。
その中には50音順の項目以外に、分野ごとのコーナーがありまして、そのうちの西洋美術史のコーナーにシュルレアリスムが紹介されていたのです。
デ・キリコ、ダリ、マグリットといった画家の絵とともに、ある一つの絵が掲載されていました。

それはかなり横に長い絵で、絵の下の方には森が描かれ、空は鱗雲で覆われています。そしてその空全体、つまり絵画全体を占めるように、巨大な真っ赤な唇が空に浮いているというものでした。

その百科事典で紹介されていたシュルレアリスム絵画の中で、その絵は一番のインパクトを持っており、幼い私の脳には、その絵と作者のちょっと変わった名前がクッキリと刻印されたのです。

その絵のタイトルは「天文台の時間 -恋人たち」、描いたのはマン・レイ。
以来、私はすっかりシュルレアリスム好きになってしまったのでした。

そんな私をシュルレアリスムの世界に引き込んだアーチストの展覧会と聞いては、これは行くしかないでしょう。
というわけで、平成22年8月14日(土)、六本木の国立新美術館で7月14日(水)~9月13日(月)の会期でおこなわれている標記展覧会を見てきました。

で、感想ですが、一言で言って大失望の何物でもない。

まぁそれも私のリサーチ不足のせいなんですが、そもそもこのマン・レイという作家はシュルレアリストにカテゴライズされていますが、もっぱら写真媒体で、しかもポートレート分野で活躍した人らしい。
いろいろな媒体でシュルレアリスム運動を展開した人だと思っていたら、案外そうではなかったっぽい(ちなみに横浜美術館の収蔵品展で、現在、マン・レイのオブジェが展示されています)。

展示されていたポートレートは被写体になっている人々はなかなか興味深い人がたくさんいたけど、でも当の写真自体がたいして面白いもんじゃなかったですよ構図とか。

それにレイヨグラフとかソラリゼーションとかは展示数がとても少ない。まぁ写真史的な観点からすると意義はあるんだろうな、と思うけど、どっちも今じゃありふれたものですしねー。だいたいワタクシ、学研の科学を定期購読してまして、付録に日光写真ってのがあったんですよね。レイヨグラフって原理はそれと同じでしょ(違う? すいません、よく分かりません)。

それにしても小学校低学年時代から楽しみにしていたんですよ。
「天文台の時間 -恋人たち」が見られない絶望感。
そのあまりの大きさに押し潰されそうになりました。
会場に展示されていたのは、その「天文台の時間 -恋人たち」をモノクロ写真に撮ったものだけでした。まぁそれが見られたのがせめてもの救いと、自分をムリヤリ慰めることにします。



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