『アントワープ王立美術館コレクション展』

2010 / 09 / 26 by
Filed under: 展覧会日記 
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『アントワープ王立美術館コレクション展』

『アントワープ王立美術館コレクション展』

平成22年9月26日(日)、東京オペラシティアートギャラリーで、平成22年7月28日(水)~10月3日(日)の会期でおこなわれている標記展覧会を見てきました。
アントワープ王立美術館というのはベルギーのアントワープという場所にある美術館とのこと。でもってそのアントワープというのは「フランダースの犬」の舞台なんだそうです。

本展覧会ではアントワープ王立美術館の膨大なコレクションの中から、19世紀末から20世紀中頃までにかけての39作家、約70作品を、以下の4部構成で展示してあるとのこと。

  • 第1章:アカデミスム、外光主義、印象主義
  • 第2章:象徴主義とプリミティヴィスム
  • 第3章:ポスト・キュビスム:フランドル表現主義と抽象芸術
  • 第4章:シュルレアリスム

ベルギーというと町のシュルレアリスム好きとしては反応せざるを得ない。ルネ・マグリット(日本語によるイメージ検索原語によるイメージ検索)とポール・デルヴォー(日本語によるイメージ検索原語によるイメージ検索)という偉大なシュルレアリスム画家を生み出した国ですからねー。
その他のベルギーの画家としてはフェルナン・クノップフ日本語によるイメージ検索原語によるイメージ検索)なんかも欠かせない(今回の展示作品は普通の肖像画でしたが)。幻想絵画といえばベルギーってな印象ですね。

そんな視点で見ていたところ、シュール・幻想萌え的には、聞いたこともない作家の、超オレ好みな展示物が満載。想像以上のお宝の群れに、予期せぬ嬉しさに満たされた時間を過ごすことができました。

第1章:アカデミスム、外光主義、印象主義

ここで目を瞠ったのは、印象派とはまた違う光の表現方法。
筆触分割とは違った技法で、ある絵では木漏れ日の爽やかさ(「陽光の降り注ぐ小道」フランツ・クルテンス)が、またある絵では地面に照りつける激しさ(「カンピーヌでの巡礼」イシドール・ヴェルヘイデン)が実に活き活きと表現されていて感動します。

その他に気になったのは以下の作家や作品。

ジャン・バティスト・デ・グレーフという画家の「公園にいるストローブ嬢」という作品も光の表現の美しさに目を奪われました。

ヤン・ストバーツという画家の作品が二つ展示されていました。一つは風景画(「ウォリュウェ川の底ざらい」)、一つは寓話的な心象画(「バラのシャワー」)ですが、スタイルが面白い。
油彩にもかかわらず、すべてが滲んでいるような描かれ方をしていて、光の表現という側面と、幻想性。叙情性という側面と、ふたつの側面で目を惹きました。特に「バラのシャワー」という絵はその技法と描かれている内容が相まって、神話的な荘厳さを感じさせます。

もうひとつ面白いスタイルの作品がありました。アンリ・ヴァン・デ・ヴェルデという画家の「洗濯をする女」という絵。
印象派の筆触分割の一亜種と言ってもいいと思うんだけど、点描法のような点ではなく、ある程度の長さを持ったストロークで、絵を描くという方法。色と方向を持っているということです。点描法が一次元なら、これは二次元といった感じでしょうか。
昔 wonderfl に投稿した「[WebCam]エッジの方向」の元となった作品と同じことがすでにおこなわれていたんだなぁ、と感慨に浸りました。

第2章:象徴主義とプリミティヴィスム

象徴主義といえば幻想絵画の宝庫と言って良いジャンルですよね。
ここで印象に残ったのはレオン・スピリアールト日本語によるイメージ検索原語によるイメージ検索)という画家の作品。
一言で言えば「暗鬱」ですかね。あまり一般受けはしなさそうな作風ですが、個人的にはかなりグッとくる。本展覧会では4点展示されていますが、そのうち3点をこちらで、残りの1点をこちらで見ることができます。

あとヴァレリウス・デ・サデレールという画家の「フランドルの雪景色」という絵が印象に残りました。

第3章:ポスト・キュビスム:フランドル表現主義と抽象芸術

ここで目を惹いたのはフリッツ・ファン・デン・ベルヘ(原語によるイメージ検索)という画家の「人生」という作品(このページの下から2番目の絵)。
この町並みの歪み。まるで「カリガリ博士」のセットそのものですよね。まさに表現主義!

第4章:シュルレアリスム

ここはどれも萌えなので詳細は割愛しますが、珍しいものとしてデルヴォーの「ウェステンデの海」について触れます。
これはデルヴォーお得意のシュルレアリスム油彩画ではなく、水彩画作品です。まあデッサン的な感じでしょうか。まるで水墨画のような、よく知られたデルヴォーの絵画とはまた違った魅力がありました。



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