ガリバー旅行記

2011 / 05 / 16 by
Filed under: 映画日記 
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「ガリヴァー旅行記」と言えば、リリパット(小人国)とブロブディンナグ(大人国)の二カ国で繰り広げられる冒険活劇という印象があろうかと思います。実際、世間に多く流布しているのはそんな子ども向けの本ばかりです。

が、ジョナサン・スウィフトが18世紀に発表した「ガリヴァー旅行記」は、全編に渡ってかなり強い毒気を含んだ物語なんですよね本来は。特に最後のフウイヌムは非道い。まーブラック・ユーモアってゆーんですかねー。ユーモアって感じじゃなくて、けっこう陰惨な話だったりするんですが。
それに「ガリヴァー旅行記」は、リリパット、ブロブディンナグだけではなく、その他にラピュータとフウイヌムという国を訪れる4編構成になっています。
なお、第3話はラピュータだけでなく数カ国の渡航記ですが、その中には日本への渡航も記されており、近年の研究(というか、こじつけ)では、横須賀市の観音崎(原作では「ザモスキ」という地名)に上陸した、とされています。ちなみに「ゴジラ」第1作目でゴジラが本土上陸したのも観音崎です豆知識。

まぁスウィフトの陰惨な風刺というと「ガリヴァー旅行記」よりも「アイルランドにおける貧民の子女が、その両親ならびに国家にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案」の方が激烈ですけどねー。これは岩波文庫の「奴婢訓」に収録されています(現在絶版)。今は青空文庫でも読めるとのこと。

そんな猛毒小説から子ども向け御伽噺に堕してしまった「ガリヴァー旅行記」ですが、今回の映画化も、過去何度か映像化されたガリバー旅行記同様、子ども向け御伽噺の系統を踏んだもので。ちょっとばかりの新機軸がありますが、まぁ基本的な流れは数ある「ガリバー旅行記」と同じもんですわ。

舞台は現代のアメリカに移されています。
そしてガリバーの人となりですが、口先は達者で大言壮語吹きまくりだけど、意気地なしで無能力者。会社内で郵便を各部署に配って回るだけの万年メール室勤務の冴えないダメ男に設定されており、ジャック・ブラックが演じています。
そして慢心や挫折を経て、最終的には自信をつけて人間として成長して帰国するという、ハリウッド映画お定まりの、何とも腑抜けたお話になっていました。

ところで3D版を観たんですけど、これって3Dの意味なくないなかぁ。2Dで充分じゃない?



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