借りぐらしのアリエッティ

2010 / 08 / 03 by
Filed under: 映画日記 
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「借り暮らし」だって? おいおいおいバカ言っちゃいけない。「盗り暮らし」だろ、この泥棒がっ!
ミルクと引き替えに家事を手伝ってくれるブラウニーさんの爪の垢でも煎じて飲むべき。

他のどっかが作った映画ならそんな無粋なことは言いません。
子どもに強い影響力を持つジブリ映画が、窃盗を正当化しかねん表現を使うのは如何なものか。
もっとも「借り暮らし」という言葉は原作小説にあるもののようなので、ジブリを非難するのは言いがかりってもんか。

ところで会話がヘンですよ。
文明批判のつもりだか何だか知らんけど「人間は地球に67億住んでいる。君たちは滅び行く種族なんだよ」ってセリフが唐突過ぎ、かつ、浮きまくりです。
だいたい翔は、好意を寄せてるって設定なんじゃないのアリエッティに。好きな異性にああいう発言は、小人族が置かれた状況を考慮に入れた上でも、リアリティが無さ過ぎでしょ。
もっと練って会話を組み立ててくれませんかね。

あと、西洋の物語を何のヒネリもなくそのまま日本に移すのは無神経が過ぎると思う。

そんなこんなで脚本や設定はいまいち、う~ん、てな感じだったんですが、その失望がすっかり霞んでしまうくらい素晴らしかったですね美術が。もう神の御技と呼びたい。

まるで鉱夫が炭鉱に向かって坑道を歩いているような、あるいは猟師が狩猟場に向かって山道を登攀しているような状況が、釘や糸巻き、コンセントボックス、釣り針、両面テープなど、日常見慣れたものの組み合わせで描かれる。あの豊かな想像力と確かな描写力は実に素晴らしい。
美術さんをはじめ、作画スタッフ、そして監督の絵作りの技量には驚嘆せざるを得ない。

とりわけ感動的だったのは、アリエッティが屋根に登って大地を俯瞰したときに、我々観客も感じる、世界の広さと美しさ。
描かれているのは一軒の家の庭に過ぎないのに、まるで宇宙から地球を見下ろしたときに感じるであろう荘厳さや偉大さを感じました。
実に心揺さぶる素晴らしいシーンだったと思います。



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