畑政義写像(5) -複素数[3]-

2010 / 08 / 12 by
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ゼロからわかる虚数・複素数」を読んで仕入れた俄知識で、複素数の説明をまだまだ続けます。

さて、ガウスによって市民権を得た複素数ですが、その後、複素数をさらにしっかりとしたものとするために、ハミルトンという数学者が以下のような再定義をしたんだそうです(上記書籍P152、153)。

二つの実数の組 (a, b) に対して、
加法を (a, b) + (c, d) = (a + c, b + d)
乗法を (a, b) * (c, d) = (a * c – b * d, a * d + b * c)
のように定義してできる数の体系を複素数という。

この定義において (0, 1) を i とした場合、加法、乗法を解くと、(a, b) は a + bi と同じと見なすことができます。

では、このハミルトンの定義による演算をガウス平面で図示するとどうなるのか。

まずは加法から。


A = 2 + i, B = 1 + 3i のとき
C = A + B は C = 2 + 1 + (1 + 3)i つまり C = 3 + 4i

複素数同士の加算

複素数同士の加算

ハミルトンの加法定理から以上のような計算が成り立ち、それをガウス平面上に図示すると→のとおりになります。

原点を O とすると直線 OA と BC、直線 OB と AC はベクトルとしてはそれぞれ同じもの、つまり四角形 OACB は平行四辺形であり、それはデカルト平面上におけるベクトルの加算と同じです。
じゃあ複素数とベクトルって同じもんなの? そう思った時期が私にもありました。

次に乗法を見てみます。加算と同じ複素数 A と B を使います。


A = 2 + i, B = 1 + 3i のとき
C = A * B は C = 2 * 1 - 1 * 3 + (2 * 3 + 1 * 1)i つまり C = -1 + 7i

複素数同士の乗算

複素数同士の乗算

ハミルトンの乗法定理から以上のような計算が成り立ち、それをガウス平面上に図示すると→のとおりになります。

ところでデカルト平面におけるベクトル同士の乗算というのは存在しないそうです(上記書籍P118)。
内積と外積は、どちらも得られる値が同じ種類のベクトルにはならないので点同士の積でなないとのこと(上記書籍P121)。

それはさておき、このとき、実数軸(横軸)プラス側(仮に点Dを置き、線分 OD とします)と、各複素数と原点 0 を結ぶ線分がなす角度は、それぞれ以下のとおりです。

  • 複素数 A がなす角度(角AOD)= 約27度
  • 複素数 B がなす角度(角BOD)= 約71度
  • 複素数 C がなす角度(角COD)= 約98度

すると、以下が成り立ちます。


A がなす角度 + B がなす角度 = C がなす角度

また、各複素数と原点 0 を結ぶ線分の長さは三平方の定理から以下のとおりです。

  • AO の長さ = √5
  • BO の長さ = √10
  • CO の長さ = √50

すると、以下が成り立ちます。


A の長さ * B の長さ = C の長さ

複素数同士の乗算は、角度は加算、長さは乗算が適用されるという性質が導き出されます。
パラメータを調整すれば、複素数同士の乗算というのは図形的に面白いものを作れそう、ということがなんとなく予感されます。

他にも、デカルト平面とガウス平面は同じようなもの、と考えれば複素数に三角関数を適用したりだとか、複素数に純虚数 i を乗算するとガウス平面上を90度ずつ回転し続けるだとか、いろいろ面白そうな性質が書いてあります書籍には。
でも今回の畑政義写像には直接関係ないので、複素数についての記事はここまで。



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