ロジスティック写像

2014 / 01 / 10 by
Filed under: Coding の素 
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ロジスティック写像の分岐図 – wonderfl build flash online

ロジスティック写像とは何か。
それは以下の漸化式によって得られる写像であるという。


xn+1 = a * xn * (1 - xn)
0 <= a <= 1, 0 <= x0 <= 1

元々はロジスティック方程式という連続時間の微分方程式として19世紀から知られていた二次方程式だそうですが、1976年にイギリスの数理生物学者ロバート・メイが「ネイチャー」に発表した論文「非常に複雑なダイナミクスを有する簡単な数学モデル」(Robert M. May "
Simple mathematical models with very complicated dynamics," PDF)によって、この式の写像がカオス的な複雑なふるまいを示すことが広く知られるようになったとのこと。

メイは、生物の個体数が世代を経ることでどのように変動していくのか、ということをこの式を使って研究しました。
a を繁殖率、xn を n 世代目の個体数(1で正規化)としたとき、この漸化式から以下のような結果が得られました。

  • 0 <= a <= 1 のとき xn は 0 へ単調に収束する
  • 1 < a <= 2 のとき xnは 1 - (1 / a) へ単調に収束する
  • 2 < a <= 3 のとき xnは 1 - (1 / a) へ振動しながら収束する
  • 3 < a <= 3.5699456 のとき xn は2の冪乗個の周期点を振動する
  • 3.5699456 < a <= 4 のとき xn は不規則になる。ただし、この領域にも xn が周期的になる領域(周期性の窓)が存在する

もっとざっくり言うと、以下な感じ。

  • a <= 3 のとき、xn は一定の値に収束する
  • 3 < a <= 3.5699456 のとき、xn は2の冪乗個の周期点を振動する
  • 3.5699456 < a のとき、xn は不規則になる(カオスを生み出す境界点 3.5699456 はファイゲンバウム点と呼ばれる)

どんだけ不規則なのかというと「ロジスティック写像」(私的数学塾)というページにグラフが示されています。
縦軸に個体数 x、横軸に世代 n をとり、それぞれ a を固定した時のグラフが以下の4つです。

ロジスティック写像グラフ a = 0.5 (「私的数学塾」より)

ロジスティック写像グラフ a = 0.5 (「私的数学塾」より)

ロジスティック写像グラフ a = 2 (「私的数学塾」より)

ロジスティック写像グラフ a = 2 (「私的数学塾」より)

ロジスティック写像グラフ a = 3.5 (「私的数学塾」より)

ロジスティック写像グラフ a = 3.5 (「私的数学塾」より)

ロジスティック写像グラフ a = 4 (「私的数学塾」より)

ロジスティック写像グラフ a = 4 (「私的数学塾」より)

なお、冒頭の wonderfl への投稿コードは、縦軸に個体数 x10000、横軸に a をとって視覚化したもので、ロジスティック写像の分岐図といいます。
初回は a がファイゲンバウム点から始まるため、全面、網のようなビジュアルになりますが、スライダーで a の開始位置を変えることで、サムネイルのようなビジュアルにもなります。

ところで以前「反応拡散系」について一連の記事を書きましたが、その中でもちょっと触れたんですが、Gray-Scott モデルにおける反応拡散方程式の中にもこのロジスティック写像が隠れています。反応拡散系(3)の最後の文章も併せてご覧ください。

参考サイト



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