『写楽』

2011 / 05 / 06 by
Filed under: 展覧会日記 
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『写楽』

『写楽』

2011年5月3日(火)、北浦和の次は京浜東北線でそのまま上野に向かいました。
そして東京国立博物館で2011年5月1日(日)~6月12日(日)の会期でおこなわれている標記展覧会を見たのです。
当初は国立西洋美術館『レンブラント 光の探求/闇の誘惑』を見るつもりだったけど、チケット購入者が正門近くまで長蛇の列をなしていたんで萎えた。トーハクに行ったところ、券売機に人が並んでいなかったんで、これはチャンスと見てきた次第。

さて、東洲斎写楽といえば、突如現れ10ヶ月ほどで消えてしまった、まるで彗星のような浮世絵師として知られていますね。写楽がその短い間に描いた絵は全部で146種類なんだとか。この展覧会では、そのうち4種類を除く、142種類が一堂に会しているという。揃っていない4種のうち、1つは焼失、1つは行方不明、1つは門外不出、1つは日本で開催されている別の展覧会で展示中(千葉市美術館『ボストン美術館浮世絵名品展』)。事実上の写楽コンプリートという何とも物凄い展覧会です。

尽くし物好きの日本人の魂をくすぐる、絶賛せざるを得ないキュレーションじゃあありませんか。

ところで、展示されていないのは4種と書きましたが、どうも実際には展示されていないのは5種類になったっぽい。
先の東北大震災のため、三井記念美術館『北斎展』や横浜美術館『プーシキン美術館展』など、中止になった展覧会がありますね。それらが中止になった理由と同様の理由なんじゃないかと推察されますが、1点、急遽展示できなくなったということで、写真が貼られている作品がありました。
メモってこなかったんでどの作品かは失念。本展覧会では同一の絵が何枚か展示されているケースもあったので、もしかしたら、その1点も別バージョンのものが会場にあったかも知れません。

まぁワタクシ的には大首絵さえ見られれば良かったので無問題でした。やっぱ写楽といえば大首絵でしょう。あのダイナミズムあの迫力。かっちょエエっす。

で、実際に展示されていた作品についてですが、保存状態の良い作品が相当数展示されており、かなり凄いっす。
最も褪色しやすい紫が残っているものや、青々とした月代の剃り跡が眩しいもの、、あるいは桃色に煌めく雲母摺りの背景に目を瞠るもの(これは写楽じゃなくて喜多川歌麿の絵だったかな)。実になんとも美しいものいっぱいです。

また、「写楽とライバルたち」というコーナーでは、写楽と写楽以外の絵師が描いた、とある芝居でとある役者が演じている役の絵を並べて展示するという趣向も凝らされていました。例えば、「花菖蒲文禄曾我」という歌舞伎で「三代目沢村宗十郎」が演じる「大岸蔵人」の写楽による絵と勝川春英による絵が並んでいたり、あるいは、「二代目坂東三津五郎演じる石井源蔵」は写楽、歌川豊国、勝川春英の三人による絵が並んでいました。
同じ役者が演じる同じキャラクターを描いているのに、絵師によって、いろいろな相違点があり、これがなかなか興味深い。

「写楽を生み出した蔦谷重三郎」のコーナーでは喜多川歌麿の有名処、「ポペンを吹く娘(というキャプションだったけど、これって「びいどろを吹く娘」って題名じゃなかったっけ)」やつげ義春「ゲンセンカン主人」に引用されていた「物思恋」など、写楽以外でも凄い絵がそろってました。

これだけの展示物を見れば、この展覧会、トーハク的にはかなり力入ってるってことは分かります。展示物にとどまらず、建物壁面や出入り口、あるいはエスカレータ横の館内壁面など、随所に役者絵をあしらったパネルや垂れ幕があって、展示物以外の部分でもリキ入ってましたよ。

トーハク平成館外壁面

トーハク平成館外壁面

トーハク平成館出口

トーハク平成館出口

トーハク平成館入口

トーハク平成館入口

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