『黙示録 -デューラー/ルドン』
今回は、2010年11月13日(土)に行ってきた3つの版画展覧会の最後、東京藝術大学大学美術館で2010年10月23日(土)~12月5日(日)の会期でおこなわれている標記展覧会についてです。
前回も述べましたが、この展覧会と国立西洋美術館で開催されている『アルブレヒト・デューラー版画・素描展 宗教/肖像/自然』は姉妹展であり、メルボルン国立ヴィクトリア美術館収蔵品であるデューラー・コレクションが展示の核になっています。
『アルブレヒト・デューラー版画・素描展』第1章「宗教」はキリストの受難伝をメインとした宗教版画の展示でした。
この展覧会はうって変わって「ヨハネの黙示録」がテーマです。
ちょっとぉ、町のオカルト好きには堪んないチョイスじゃなーい。そして実際に展示を見るとこれがまた期待を裏切らない出来で、もー萌える!
デューラーによる連作版画集「黙示録」を中核にすえて、デューラー以前の黙示録図像、デューラー以後の黙示録図像と15、16世紀の図像が展示されています。
そして最後にちょっと趣向を変えて、ずっと時代が下った19世紀のルドンによるヨハネの黙示録と、全編これヨハネの黙示録。終末、滅亡、破滅、破壊、絶望と苦悩の一大黙示録絵巻という、もう辛抱堪んないっすよオレ的に。
なかりヤバい。「海から上がってくる獣」「地から上がってくる獣」「ラッパを吹く7人の天使」「4人の騎士」「龍を降す聖ミカエル」「7つの角と7つの目を持った子羊」などなどなど。ヨハネの黙示録の記述をそのまま忠実に図像化してるわけです。萌える!
しかし宗教版画史におけるデューラーのインパクトってのは凄まじく強力なものだったようですね。デューラー以前の図像は何というか素朴とでも評すものですが、デューラー以後の図像はタッチがデューラーのまんま。これは宗教版画に限らないのかな。
うーん、デューラーってすごかったんだなぁと感慨にふけりながら最終章の展示に歩みを進めます。
ここではルドンの黙示録連作を核にしてますが、それ以外にも「ペイルライダー」を扱った図像が複数並んでいます。よりにもよって「ペイルライダー」一択! キュレーター空気読みまくりですね!
ペイルライダーと言っても黙示録そのままではなく、そこから解釈が進んだ「騎乗する死神」の図像です。なのでデスサイズを持った図像もチラホラ。デスサイズにも萌え!
いやーもーヤバいっすーこの展覧会。あまりに萌え過ぎて図録買っちゃいましたよ藝大アートプラザで。
今回展示されていた版画はどれも興味深いものだったんですが、その中でも今日の1枚を選ぶとすると、ルドンによる黙示録連作12点のうちのひとつ、展示番号104「…これを千年のあひだつなぎおき(黙示録20:2)」ですかね。
これは第一次天界戦争でミカエルに敗れ、地上に落とされた
ルドンは、その龍のもうひとつの呼び名「年を経た蛇」の方を採用して、鎖によって拘束された蛇が暗がりにいる図像としています。
何かとても斬新な感じがしました。
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