『アートが絵本と出会うとき』

2014 / 01 / 27 by
Filed under: 展覧会日記 
Bookmark this on Delicious
[`livedoor` not found]
[`yahoo` not found]

『アートが絵本と出会うとき』

『アートが絵本と出会うとき』

2014年1月16日(木)、うらわ美術館で標記展覧会を観ました。会期は2013年11月16日(土)~2014年1月19日(日)ということで滑り込んできた次第。

本展覧会の趣旨に曰く。

先鋭的・前衛的・現代的な美術作品と子どもの絵本。このふたつは一見無関係で遠いものに思えます。しかし時代の先端で新しい表現を試み、開拓した美術家たちの中には、子どものための絵本を描き、そこでも実験精神を発揮した美術家がいました。

ということで、アバンギャルドな作風を特徴とする作家が手掛けた絵本やその原画を堪能してきたわけですが、個別に感じたことなんぞ。

子供向けということを意識しているのか、ずいぶん抑えたなぁ、と感じたのが池田龍雄。
「化物の系譜」や「百仮面」「禽獣記」などの各シリーズに心ときめく私としては、かなり拍子抜け。

一方、全然抑えていないのが山下菊二。
見るなの座敷」という民話を扱ったものでしたが、どろどろとした土俗的な作風が全然ぶれていないのが萌える!

ところで、子供向けと前衛は縁が遠いと、いうことですが、ウルトラマンやウルトラセブンの洗礼を受けた世代としては、それには異議を唱えたい。

ウルトラマンにはダダという宇宙人や、ブルトンというホヤのような正体不明の怪獣が出てくるわけです。もちろん前者はダダイスム、後者はアンドレ・ブルトンが由来。
ブルトンの回のストーリーなんかはシュルレアリスムをかなり意識した不条理なものでした。不条理というとギャンゴの回のストーリーもかなりソッチ系。

ウルトラセブンのバド星人の回では、ジャン・コクトーによる映画「オルフェ」の一場面である、鏡を通って冥界に入るシーン(水面を鏡面に見立てて、水に手を入れる=冥界に入る、ということを表現)が引用されていたし、「第四惑星の悪夢」はゴダールの「アルファヴィル」そのまんま。
宇宙細菌ダリーの名は、サルバドール・ダリが由来でしょう。

そして何より、怪獣デザインの成田亨はシュルレアリスト。怪獣造形の高山良策は前衛画家。このお二人がすごい。
エレキングは福沢一郎《》がモチーフ。
キングジョークレージーゴン、特に後者は前衛オブジェにしか見えない強烈なデザインで萌える!

そんなわけで、子供の情操教育と前衛って、そんなに縁遠いものでもないと思うんですよねー、と感じた次第です。



Comments

Tell me what you're thinking...
and oh, if you want a pic to show with your comment, go get a gravatar!





WP-SpamFree by Pole Position Marketing