『楊洲周延《東錦昼夜競》 ―歴史・伝説・妖怪譚』
私不勉強で、楊洲周延という絵師を去年まで知らなかったんですが、国芳門下で、芳年と同年輩の、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師とのこと。
今年はその周延の没後100年だそうで、平木浮世絵美術館や砂子の里記念館などでも回顧展が開催されていたのは知っていました。でもピンクとかオレンジとか水色とかの色使いが好みではなかったのでスルーを決め込んでたんですわ。
しかしサブタイトルに妖怪の文字が躍る本展覧会だけは行かずばなるまい、ってなわけで、2012年12月12日(水)に太田記念美術館へ行きました。会期は2012年12月1日(土)~2012年12月20日(日)ってことで、これまた滑り込み状態での鑑賞でした。
本展は、周延が描いた「東錦昼夜競」という、神話時代から江戸時代にかけて、さまざまな歴史故事や伝説、妖怪譚などを題材としたシリーズもの全50点に的を絞ったものです。妖怪、美人、武者などのカテゴリーに分けられています。
また、それだけではスペースが余るので、芳年の「月百姿」から、関連性の高いもの30点が展示されています。
「東錦昼夜競」と「月百姿」には題材が同じものがあり、それらが並べて展示されているコーナーがあります。これはよいです。同じ題材を、ふたりの絵師がどのように料理したのか、その違いが観られます。
「室の津遊女(東錦昼夜競)」と「いつくしまの月 室遊女(月百姿)」
「伊賀の局(東錦昼夜競)」と「吉野山夜半月 伊賀局(月百姿)」
これらのペアは題材どころか描かれた場面までがまったく同じ。その同じ場面を、各々がどのように描いたのか。構図や人物の姿などの対比が観ていて実に面白い。
そんな並列展示コーナー以外でも「月百姿」がまとめられており、「東錦昼夜競」の展示に採用したのと同じカテゴライズで分類展示されていました。
しかし並列コーナー以外でも「浅茅ヶ原(東錦昼夜競)」と「孤家月(月百姿)」など同一の題材を扱ったものがあったりして、そういうのはちゃんと全部、並列コーナーにまとめればいいのになぁ、と感じた次第。
で、今回の一枚。東錦昼夜競から「佐賀の怪猫(東錦昼夜競)」
知ってましたこの絵。昔、子ども向けの妖怪図鑑で見ましたよ。そんな幼い時代に遭遇した絵に再会する機会が多いので、浮世絵を観るのはとても楽しいです。
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