『幕末・明治の美女たち』
2013年2月10日(日)、太田記念美術館で標記展覧会を観ました。会期は2013年2月1日(金)~2月24日(日)。
浮世絵というと、役者絵、武者絵、風景画などいくつかの超人気ジャンルがありますが、そのひとつに美人画がありますよね。本展は、美人画の中でも、幕末から明治にかけての風俗を描いたものを展示するものとのこと。
つまり洋装女性を描いたものがメインということになると思われるんですが、そうすると楊洲周延の独壇場と言ってもよいでしょう。実際、周延率、高かったです。
でもそれだけではスペースを埋めきれないのか、明治の絵師が、昔を偲んで描いた、古き良き江戸時代の女性像というセクションもありまして、個人的には浮世絵というと、こちらの方がしっくりきます。
そんなわけで(どんなわけだ)、先だっての横浜美術館『はじまりは国芳』の感想文でオレに好評を博した「これはエロいで賞」をまた選ぶよ。
ことあるごとに述べてますが、またまた月岡芳年「風俗三十二相」から、今回触れるのは「けむさう」。
調理用か暖房用かは分りませんが、練炭あたりに火をつけたら、思いのほか煙がたくさん出ちゃって、「うっ」てな感じで顔をそむけている女性を描いたもの。
寄せた眉根、薄く開いた眼、歪んで閉じた唇。この表情が何ともエロっぽいですよねー。
『はじまりは国芳』でも「けむさう」は展示されてたんで、そこで触れるべきだったのかも知れませんが、同一作家の作品に偏るよりもバラエティに富んだ方がイイかなぁ、と思い、そのとき「いたさう」だけを選びました。今回は「けむさう」について鼻息を荒くした次第。
エロとは別の話で、デザイン性という面からやはり「風俗三十二相」の「さむさう」にも目が惹かれました。
雪を被って真っ白になった傘を白抜きで表現しています。絵の枠がそのまま傘の白につながっているという状態。白と黒のコントラスト強めの絵を描く人のマンガなどでも、このような白抜きが使われている事例を見ますが、この描き方はかっこよくて好きです。
で、その傘ですが、部分的に傘の骨が見えてる状態で、それが墨の滲みで表現されてるんですけど、これ摺りによる表現ですかね。摺りでこんなことできるもんなのか? と目を瞠りました。
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