『ベルリン国立美術館展』

2012 / 09 / 01 by
Filed under: 展覧会日記 
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『ベルリン国立美術館展』

『ベルリン国立美術館展』

2012年8月24日(金)の美術館巡り、その終着駅は上野。
国立西洋美術館で2012年6月13日(水)~9月17日(月)の会期で開催されている標記展覧会です。
首都圏の美術館の中には金曜日は夜遅くまで開いているのがありますが、国西美も20時まで開館しています(入館は19時30分まで)。
遅い時間に行けば、少しは空いているだろうと狙って、17時30分くらいに行ったんですが、その目論見は半分くらいしか当たらなかったもよう。それなりに混んでいました。でも最も人だかりがしていた「真珠の首飾りの少女」ですら、5分も待てば先頭に行けたから、充分空いているって言って良いんでしょうかね。

以前、『大エルミタージュ美術館展』のときにも表明しましたが、ひとつの美術館の収蔵品で美術史を通覧するというのは、やはりムリが大きいと考えるので、本稿でも、印象に残った作品について徒然なるままに綴ります。
もっともベルリン国立美術館という名称の美術館が1館存在するのではなく、ベルリン近郊の複数の美術館や博物館の15館を総称した、ベルリン国立美術館群の展覧会らしいですが本展は。

木製彫刻がけっこうな数、展示されていましたが、それらの服の皺の表現のリアルさに驚きました。

手に乗るくらい小さなブロンズ彫刻が、これまた結構な数、展示されていました。塑像もなかなか魅力的なものでしたが、台座になっている大理石の美しさに目を奪われました。

通路の真ん中に、ゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」みたいな彫刻が展示されている。そのタイトルはと観ると「ガイア、もしくは人喰いの擬人像」。作者はレオンハルト・ケルンと書いてある。
ガイアかよ! たしかにしなびた乳房が垂れ下がってるな(熟女と老女の中間くらいの年齢な感じ)。「我が子を食らうサトゥルヌス」のパロディ的意味合いを持った彫刻なのか?
でもサトゥルヌスはギリシア神話ではクロノスの相当する神。でクロノスはガイアの息子。その点で「我が子を食らうサトゥルヌス」とは対称性に欠けるなぁ。

本展で最も人口密度が高い場所は、もちろんフェルメールの「真珠の首飾りの少女」前ですが、その二つ隣にレンブラントの「ミネルヴァ」が展示されており、こちらも「真珠の首飾りの少女」ほどではないにしても、やはりそれなりに人がいます。
その「真珠の首飾りの少女」と「ミネルヴァ」に挟まれた絵がレンブラント派による「黄金の兜の男」です。
かつてはレンブラントの作品だといわれていたそうですが、現在ではレンブラントの工房で弟子が描いたものという判断がくだされた絵なんだとか。
そんな格落ちしちゃった感のせいなのか、ほとんど人が立ち止まっていません。

でも私思うんですが、この3枚なら、もっともドラマティックで感動的なのは「黄金の兜の男」じゃないですかねぇ。
フェルメールの白い壁も美しいとは思いますが、光が反射して煌めく兜には、心が揺さぶる強さがありますよ。
一方、「ミネルヴァ」の光の使い方は、どうもピンとこない。ミネルヴァ以外が暗すぎて、よく見えないっす。なんでもメドゥーサの盾が描かれているらしいんだけど、どこに描かれているのかさっぱり分らん。
人々の囁き声を聞いていると「ミネルヴァ」前が混んでいたのは、もっぱらそのせいなんじゃないですか。

それはともかく「黄金の兜の男」はすばらしい絵なので、素通りせずに心行くまで堪能しましょうよ。



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