『ドビュッシー 、音楽と美術』

2012 / 09 / 22 by
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『ドビュッシー 、音楽と美術』

『ドビュッシー 、音楽と美術』

2012年9月15日東京エリアぐるり美術館巡りの旅その4。

三井記念美術館で仏像を堪能したわけです。この日はそこで終わるつもりだったんですが、中途半端に時間があまってしまい、ならいっそ4大美術館全部回るかぁ、と思い直してブリヂストン美術館まで戻りました。
ここでは2012年7月14日(土)~10月14日(日)の会期で標記展覧会が開催されています。

観るつもりなかったんで全くノーマークだったこの展覧会。でもシニャックの作品が展示されるという情報を得て、だったら観ておいてもいいかなぁ、程度でした。
もっともそのシニャック作品というのはブリ美収蔵品だとか。ということはブリ美の次回展覧会『気ままにアートめぐり─印象派、エコール・ド・パリと20世紀美術』が収蔵品展だから、それでも展示されるんじゃないかしら、だったらやっぱり観なくてもいいかなぁ、と迷いつつ会場入りした次第。

私の認識が間違っていました。申し訳ございません。

絵画ではルノワール、ドガ、ルドン、マネ、モネ、ゴーギャン。彫刻ではロダンとその弟子にして愛人のカミーユ・クローデル。そしてガラス工芸のガレ。さらにジャポニスムの側面から北斎や広重の浮世絵などもあって、かなりスゴイ。個人的にはモーリス・ドニの充実っぷりに目を惹かれました。

フランスのオルセー美術館とオランジェリー美術館、そして日本のブリヂストン美術館。本展はこの3つの美術館合同の企画とのことで、すばらしい印象派作品が綺羅星の如く並んでいました。

しかし、嬉しい誤算半分、嬉しくない誤算も半分。非常にアンビバレンツな想いに悩まされる展覧会だったことをここに告白します。

音楽家ドビュッシーをテーマにした美術展というのが、いまいちピンと来ず。さらに迷路のような理不尽な展示構成にイライラがマックス。結局、一体何をキュレートされているのか、よく理解できませんでした。

この展覧会は全部で10章という、展覧会にしてはずいぶんと多過ぎる章で構成されているんですが、それがまず如何なものか、と。ブリ美の展示室は全部で9。そのうち最後の2室は収蔵品展示に使われているので、7つの部屋で10章分を展示するという。

そしてこれからがおおいに問題の点なんですが、各章ごとの展示数と部屋の大きさの関係なのか、配列が異常な混乱をきたしている。
配布されていたリストに現場でしてきたメモで再現すると、以下のとおり(時計回り、反時計回りの判断は、章の説明パネルがある場所からその章が始まっていると仮定してのもの)。

第1室には第1章と第2章(反時計回り)
第2室には第3章と第4章の半分ほど(時計回り)
第4室には第5章~第7章(時計回りだと5、7、6の順、反時計回りだと6、7、5の順、自然なのは反時計回りの方)
第5室には第4章の残り(時計回り)
第6室には第9章(時計回り)
第7室には第8章(反時計回り)
第8室には第10章(章の説明パネルが次の間の入口に配置されており、巡回方向はどちらとも言えず)
第9室と第10室は所蔵品展
(第3室は欠番)

部屋によって巡回方向がまちまち。
第4章が分断されていて、1室3章分を通過した後に残りが出現。
第8章と第9章が逆順。
極めつけは第4室の混乱。

何のための章建てなんだろうと、疑問に思うことしきり。
この混乱に拍車をかけていたのが人の多さ。出品群のすばらしさ故でしょう、えらく混雑してました。
混雑していること自体にはまったく文句はありませんが、前述の混乱した展示状況でさえなければ、ここまで会場内がぐちゃぐちゃにはならなかったんじゃないんですかねぇ。それぞれの部屋に右回りの一群と左回りの一群とで混乱に拍車がかかるかかる。

さらに追い打ちをかけてくれちゃってるのは、部屋によってはドビュッシーの音楽が流れているんこと。ドビュッシーといえば不協和音。会場内の混雑、展示構成の混乱、そして不協和音。イライラが3倍増し4倍増しでしたよ。

まぁ不快なことばかりつらつら書き綴っても、嫌な記憶を反芻するだけなので楽しかったことを思い出しましょう。

日本人は印象派が好きですが、これだけ混雑している理由もよくわかるというもの。とにかく展示されている絵画の充実っぷりがパねぇです。
ドビュッシーがどうの、展覧会のテーマ、キュレーションがこうの、なんてすっかり忘れて、単純に展示されているそれぞれの作品を個別に堪能すべき展覧会ですね。

個人的に印象深かったのはエミール・ガレの「」という作品。まぁ花瓶なんでしょうが、1メートルくらいはありますかね。けっこう大きいです。しかし首がすぼまってて極端に言うと一輪挿しくらいしかできなさそうな感じで実用性は乏しそう。
ガレといえば作品に虫だの鳥だのといった小動物をあしらうことが思い起こされますが、この作品にも、その下部の膨らみにはフジツボなのか巻き貝なのか、そんな海の小動物が貼りついています。
そしてそのタイトルどおりの深い青色が実に印象的でした。

しかしこれ、リスト上は第9章の展示作品なのに、実際に展示されているのは第2室の方の第4章なんですよね。意味わかんねー。



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