『どうぶつ大行進』

2012 / 08 / 10 by
Filed under: 展覧会日記 
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『どうぶつ大行進』

『どうぶつ大行進』

2012年8月8日(水)の千葉遠征記の続き。
先に観ていたのはこっちなんですが、千葉市美術館で2012年7月14日(土)~9月2日(日)の会期で開催中の標記展覧会の話。

まず始めに断っておくと、この展覧会マジお勧め。近場の人もそうでない人も、観といた方がイイっす。

その展示物の数の多さに圧倒されました。リストによるとその数なんと239点。
ごくわずかに彫刻やモビールなどの立体物がありますが、基本的には平面物の展覧会。
日本画や近代版画、油彩画などもありますが、主に錦絵、浮世絵、掛軸、屏風、綴じ本などなどの江戸時代の作品が並んでいます。

国芳をはじめとする歌川一門。宗達・抱一・芳中といった琳派の面々。北斎、歌麿、若冲、芳年、暁斎などの天才絵師たち。
そして土牛、是信、蘆雪、玉堂、あるいは棟方志功、浜口陽三、長谷川潔などなどなど。
あんな絵師こんな画家そんな版画家…… こんだけすごい人たちの作品をこんなに観られて、観覧料がたったの200円とかマジありえねー。素晴らし過ぎ。

あと、この展覧会のチラシも見所のひとつ。
ただのチラシじゃないんです。印刷技法のことよく知らないんですが箔押しっていうんですか。動物の輪郭線とか全身部分だとか、ところどころ浮き彫りのように盛り上がっている、かなり凝ったチラシです。
私チラシの保存とか考えない人なので、展覧会場で入手したチラシは即座に二つ折りにするんですが、このチラシは二つ折りにするのが躊躇われました。

以下、印象に残った作品について徒然なるままに。

「群蝶図巻」三熊花顛

何十種類という蝶がそれぞれ1頭ずつ描かれているんですが、とにかく種類が多いのが圧巻。震えがきちゃう。
なぜか1種類だけ蛾が混じっている。サン(野生の蚕)ってやつですね。何というサンかは分からないけど。

「浮絵海土龍宮玉取之図」西村重長

この題名は「うきえ・あま・りゅうぐう・たまとり・の・ず」と読むとのこと。
気になったのは「あま」です。「あま」なら「海土(うみ・つち)」でなく「海士(うみ・さむらい)」だと思うんですが。
絵の四方は描き枠になっていて、向かって右手の縦の部分に題名が書かれていました。
横線が上のも下のも同じくらいの長さで「土」なのか「士」なのか、いまいち分からん。
どっちが正しいのかなぁ。

「八嶋壇浦海底之図」歌川芳艶

三枚続大判錦絵で、壇ノ浦で入水した平家の面々が、物の怪となって海底に蟠っている図。中央一枚を使って、ババーンと平家の猛将知盛が大きく描かれているのが実にカッコいい!

「八嶋壇浦海底之図」歌川芳艶

「八嶋壇浦海底之図」歌川芳艶

「王者の瑞」石井林響

「王者の瑞」石井林響

「王者の瑞」石井林響

本展で最も感銘を受けた絵。
二曲一双の屏風絵なんですが、左隻に描かれた動物に魅入って離れられませんでした。
その動物というのは麒麟です。中国の想像上の瑞獣の麒麟です。
頭は龍、体は鹿、牛の尾に馬の蹄、そして額には角。キリンビールのラベルになっているのが麒麟の一般的な図像。
しかし、この絵に描かれている麒麟は、アフリカ大陸に実在しているキリン(ジラフ)がベースになっています。
体には獅子のような青い斑点、鼻には龍のような髭、肘膝踵そして尻尾の先には燃えるような朱色の長毛。
この青と朱の取り合わせが目も覚めるような美しさ。そして古来より図像的に固定している麒麟をジラフの姿に描いた意外性。
なんとも斬新で素晴らしいじゃあありませんか。惚れ惚れしました。

そんな素晴らしい作品群を見終えて、外に出て時計を見たら、なんと2時間が経過していました。
そんな長時間見ていたとは! でもそんなことを感じさせない鑑賞に没入しまくった、実にステキな展覧会でした。

『どうぶつ大行進』

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