『江戸の文華』

2010 / 10 / 18 by
Filed under: 展覧会日記 
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『江戸の文華』

『江戸の文華』

2010年10月16日(土)、横浜でお化け関連の展覧会を二つ観た後は、川崎に移動して標記展覧会を観ました。
会場は、JR川崎駅に隣接している川崎駅前タワー・リバークというビルの3階に入っている「アートガーデンかわさき」という市営(厳密に言うと財団法人・川崎市文化財団)の施設です。
川崎市は専修大学と連携して地域振興事業をおこなっているそうなんですが、その一環として、専修大学図書館が、やはり川崎駅の近くにある私立美術館・川崎・砂子の里資料館と共催して、この展覧会を開催したとのこと。

専修大学図書館は向井信夫という方が収集した戯作本4千点のコレクションを蔵しており、また川崎・砂子の里資料館は有数の浮世絵コレクションを蔵しています。
この展覧会では両館が持つそれぞれのコレクションから選りすぐりの作品を展示しているとのことです。

で、実はわたくし、この展覧会もお化け系の絵が目当てだったんです。
「椿説弓張月」の一場面を描いた歌川国芳による「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」です。

讃岐院眷属をして為朝をすくふ図

ちなみにコレ、別バージョンが『天狗推参!』にも展示されていました。「讃岐院の冥加により高間ふうふの一念鮫に乗り移りて舜天丸紀平次をすくふ」というタイトルの絵。讃岐院の眷属というのが見てのとおり烏天狗なので。

まぁあとお化け関連と言えば金太郎絡みの絵ですね。といっても金太郎がお化けというわけではもちろんなく、金太郎の母親の話。金太郎の母親というのは山姥なんですよ。
なお、『天狗推参!』で読んだ解説にあった、金太郎絵に出てくる情けない系の烏天狗が、この展覧会で展示されてました。
魚屋北渓による「山復山其一」という絵です。ちなみに「山復山其二」というのもあり、それは金太郎の母の山姥が描かれています。
山姥といっても普通イメージする鬼婆ではなく、胸乳を放り出した色白で艶っぽい年増として描かれています。エロい。
それぞれのリンク先はブリティッシュ・ミュージアムの収蔵品である各絵ですが、この展覧会に展示されていたものの方が、遙かに状態が良いです。

実はあまり期待せずに気軽に出かけたんですが、いや、その展示品の量の多さたるや驚きました。
こじんまりした展示なんだろうなぁと舐めてかかってたんですが、すいませんでした(土下座)。

特に戯作本の充実度は半端ないっす。三馬、一九、種彦、京伝、馬琴といった戯作者がオールターキャストなら、北斎、春水、豊国、国貞、国芳と絵師もオールターキャストですよ。上記の絵師はもちろん浮世絵も展示されています。
「児雷也豪傑譚」の綱手姫(ナメクジ)と大蛇丸(ヘビ)の戦いとか、「白縫譚」の大友宗麟が娘若菜姫の蜘蛛の妖術とはじめ、「化物太平記」だの「怪談模模夢字彙ももんじい」だの、かなり萌える展示物が目白押し。

これだけの量を無料で観られて眼福なうえに、さらに来場特典として、図録、カレンダー、ポストカードがいただけるという、何という大盤振る舞い。ありがたやありがたや。

無料でいただける図録とポストカード

無料でいただける図録とポストカード

無料でいただける図録なので、普通に美術館で買う図録のような厚いものではなく薄い冊子の形体ですが、中身の充実度はすごいです。絵が全部フルカラーで収録ですよ。これ売り物だったら最低でも800~1,200円はするんじゃないかなぁ。はっきり言ってこれをいただくためだけに出かける価値あり。

川崎市ってこんなに文化事業に熱心だったんだなぁ。何か地域に根ざしてるって感じがうかがえて羨ましい。
横須賀なんか田舎物丸出しで恥ずかしいよ。建物だけ立派な美術館作って、全然器と釣り合わないしょっぼい企画展やってるだけ(最近マシになってきたけど)なんだもん。こんなんじゃ「文化事業やってます」なんて恥ずかしくて言えないよなぁ。



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