『江戸妖怪大図鑑(第1部 化け物編)』

2014 / 07 / 07 by
Filed under: 展覧会日記 
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『江戸妖怪大図鑑(第1部 化け物編)』

『江戸妖怪大図鑑(第1部 化け物編)』

2014年7月4日(金)は太田記念美術館で標記展覧会を観ました。

春はあけぼの、夏は化け物と言いますが、近年定着しつつある、妖怪変化をテーマとした夏の展覧会が今年も開催されます。浮世絵の殿堂、太田記念美術館で、期間は3か月にも渡り、全3部構成、展示点数269点にもおよぶ大規模なもの。

本展覧会は各部ごとに以下のようにカテゴライズされています。

第1部は「化け物」編。
会期は2014年7月1日(火)~7月27日(日)で、鬼、天狗、河童など妖怪が描かれたものが並びます。

第2部は「幽霊」編。
会期は2014年8月1日(金)~8月26日(火)で、四谷怪談のお岩さんや皿屋敷のお菊さんなど幽霊が描かれたものが並びます。

第3部は「妖術使い」編。
会期は8月30日(土)~9月25日(木)で、道人、妖人、仙人、忍者といった、奇妙な術を使う人々やその召喚獣(蝦蟇、大蛇、蛞蝓、蜘蛛など)が描かれたものが並びます。

浮世絵の始祖・菱川師宣から最後の浮世絵師・月岡芳年まで、時代的には1680年ごろから1890年あたりという、実に200年以上に渡る長い期間の間に描かれた作品群が一堂に会するとのこと。
太田記念美術館の本気がみなぎる展覧会ではないでしょうか。

で、今回はその第1部「化け物」編。

土蜘蛛、鵺、天狗、河童、化け猫、個性的な化け物たち、酒呑童子、羅生門の鬼、戻橋の鬼、平維茂と鬼、大森彦七と鬼、貞信公と鬼、化け物大集合、風刺としての化け物、八岐大蛇、大蛇、鰐鮫、動物の化け物、と、もうちょっと整理できたんじゃなかろうか的な分類がなされておりました。

個人的に楽しみにしていたのは、葛飾派《百々眼鬼》です。水木しげる先生による「百目」の元ネタですね。
あと、過去の同様の展覧会と被っていない作品がけっこう展示されており、興味深く拝見しました。

この日は担当学芸員によるスライド・トークが開催されるということで拝聴してきました。内容は以下のようなもの。

酒呑童子」と「羅生門の鬼」は菱川師宣に始まり、歌川国芳、月岡芳年まで続く息の長い題材である。
酒呑童子では、師宣、西村重長、北尾政美、勝川春亭、国芳、歌川芳艶、芳年、羅生門の鬼では、師宣、勝川春章、鳥居清倍、国芳、芳年、といった絵師の作品を併せ観て、時代による違いや先人の引用などを堪能して欲しい、とのことでした。

歌川広景《江戸名所道戯尽 二 両国の夕立》は歌川広重《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》が念頭に置かれている。雨で人々が逃げ惑う橋のたもとでは、雷神が河童に襲われていたのである、と夢に思いぬ的に描かれたものでしょう、とのことでした。

本所七不思議」のビジュアライズは明治期になってからのもので江戸時代には成されていない、とのことでしたが、歌川国輝《本所七不思議之内》以外に「本所七不思議」を描いた浮世絵ってあったっけ?

今でこそ妖怪画といえばは喜多川歌麿の師・鳥山石燕の《画図百鬼夜行》がスタンダードですが、浮世絵版画界では、鳥山石燕の図像はほとんど参照されていない、その数少ない例外が月岡芳年《百器夜行》であるとのことでした。
まぁ石燕も先行図像を割と参照しているんですけどね。あと、現在の鳥山石燕=妖怪スタンダードは水木しげる先生の影響なんですけどね。

そんなスライド・トークは2014年7月9日(水)にも開催されるので、気になった方は聞きに行こう。



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