『江戸妖怪大図鑑(第2部 幽霊編)』
2014年8月2日(土)、太田記念美術館で標記展覧会を観ました。
2014年7月1日(火)~9月25日(木)の会期でひと月ごとに主題を変えて、総展示替えがおこなわれるけっこう大規模な本展ですが、今回はその第2部の話。
なお、第2部の会期は8月1日(金)~26日(木)ですが、13日(水)までの第1期と14日(木)からの第2期に分割されています。
今回の構成は、以下のとおり細分化されています。
- 累
- お岩
- お菊
- 小幡小平次
- 浅倉当吾
- 崇徳院
- 平清盛と亡霊
- 平家の亡霊たち
- 清姫
- 姑獲鳥
- さまざまな幽霊
- 地獄
- 幽霊の見世物・人形
- 驚く人々
幽霊なら「姑獲鳥」よりも「産女」表記の方がふさわしいのでは、とか、幽霊括りは違うのでは(本所七不思議之内「
それはともかく。
前回の「第1部 化け物編」の見どころのひとつは以下のものでした。
浮世絵において、「酒呑童子」と「羅生門の鬼」は、創世期から画題として扱われ、菱川師宣から月岡芳年まで、100年以上に渡るスパンのそれらを画題とした作品が同時に観られる。
今回の「第2部:幽霊」編における「酒呑童子・羅生門の鬼」相当キャラは「累」であるようです。
安永7年(1778)7月の勝川春好から嘉永5年(1852)9月の歌川国貞(三代豊国)まで、やはり100年近くに渡る「累」をテーマとした錦絵が並んでおり、その変遷がうかがえるようになっていました。
その変遷が…… と言っても、「お岩」もそうなんですが、浮世絵における幽霊画って、怪談自体からインスピレーションを得た図像ってのは少数派で、たいていは歌舞伎の場面を描いたもの。基本的に同じ図像なんですよねー。
第1部でいうと「化け猫」なんかその傾向が強い。そんなわけで『江戸妖怪大図鑑』全3部中、第2部はあまり期待していなかったんでした。
とはいいつつも、「平清盛と亡霊」では展示数4点中、悪源太義平化雷神1点(歌川芳房《清盛布引滝遊覧義平霊難波討図》)、目競べ2点(葛飾北斎《福原殿舎怪異之図》、月岡芳年《新形三十六怪撰 清盛福原に数百の人頭を見る図》)、熱病で死ぬ場面1点(月岡芳年《平清盛炎焼病之図》)と、イイ具合にバラけていたり、あるいは「さまざまの幽霊」でのバラエティに富んだ数多の作品群など、東京に唯一残る浮世絵専門美術館の底力を見せてもらった感じです。
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