『ユーフラテス展』
2010年12月18日(土)、ggg へ行ってきました。2010年12月2日(木)~25日(土)の会期でおこなわれている標記展覧会を観てきました。
慶應義塾大学佐藤雅彦研究室の卒業生から構成されるクリエイティブ・グループ、ユーフラテス。この展覧会では、その結成(2005年)から5年間にわたる作品を一覧することができます。
1階展示スペースでは「ISSEY MIYAKE A-POC INSIDE」「イデアの工場」「0655と2355」。
地階展示スペースでは「“これも自分と認めざるをえない”展」「君の身体を変換してみよ展」「日常にひそむ数理曲線」「ピタゴラスイッチ」等々といった展覧会や制作物の展示がされています。
そして各作品は、何を基盤とし、どのような思索を経て作品に結実したのか、ということが解説されています。ユーフラテスの制作の秘密を、ユーフラテス自らが明かす、まぁ自作解題といった趣の展覧会ですね。
それらの解説を読んで思うのは、実に科学的なプロセスによって作品が作られているなぁ、ということ。
たとえば、「ISSEY MIYAKE A-POC INSIDE」。
これはバイオロジカル・モーションという認知科学の知見と、ロトスコープというアニメ映画の一手法のふたつを基盤としたものだ、と解説されています。
あるいは「イデアの工場」。
これはオートメーション工場のロボットの動作が生み出す気持ちよさの追求し、その面白さを抽出したものだ、と解説されています。
感性を科学的に分析し、理詰めで、面白い、楽しいといった鑑賞者の感性を呼び起こす、ここに展示されているものは芸術ではなく科学であり、これらは美術館ではなく科学館や技術館、あるいは製造業の会社のショールームなどで体験するのがふさわしいものなのかもなぁ、と感じます。
便器で破壊されて以来、アートは「何でもあり」「言ったもん勝ち」といった、悪い意味で混沌、いやむしろ混乱と呼ぶべきか、そんな惨憺たる状況だと私は考えているんですが、でもその混沌も悪いことばかりではありません。
生み出されるものは、決してゴミだけじゃありませんし、このユーフラテスの制作物のような、本来は芸術とは異なるカテゴリーの作品に触れる機会も増えるんだから、それはそれで感謝するべきなのかもしれませんね。
ところでこの展示、美術展だったら図録に相当する図書が出版されています。DNPコミュニケーションズから出版されている「EUPHRATES BOOK 研究から表現へ」という本です。もう現場で即買いしましたですよ。買って良かったですよ面白いですよ。
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