『船田玉樹展』

2012 / 09 / 07 by
Filed under: 展覧会日記 
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『船田玉樹展』

『船田玉樹展』

2012年7月15日(日)~9月9日(日)の会期でおこなわれている標記展覧会を観に、2012年9月6日(木)に練馬区立美術館へ滑りこんできました。
今までほとんど触れてこなかったので日本画がよく分らない。なので、これから日本画に触れる機会を増やそうと思っている次第。
そんなわけで作品に対しての見る目がないながらも、自分の気に入った作品について若干述べてみたいと思います。

「寒林」制作年不詳

画面、下から上に向かって伸びる3本の細い線。それは頭頂部にのみ枝を張る樹木。松なのか、葉が密生して横に長い楕円となっている。
その3本の幹の合間を埋めるように、画面下半分の領域は、枝分かれした、やはり細い線が数多く描かれている。枯れ枝なのか、無限に枝分かれするさまは、画面を走るひび割れのよう。
メインの3本の線とサブの多数の線のコントラスト、そして枝分かれのフラクタル的美しさが墨一色で描かれた、静かに心に沁みいってくる作品。

「老梅」1979年制作

金箔地の大きな屏風の中には、太い枝を広げた梅が大きく描かれている。その黒を主体としたモノトーンの樹木表面が白くモヤモヤとした斑になっているさまが、まるで不治の病に冒されているかの如きであるが、白い可憐な花がビッシリ咲き誇っている。実に鬼気迫る様相。
聞けばこの船田玉樹という方は、1974年にクモ膜下出血のため右半身が不自由になってしまったそうな。
しかし利き腕である右手での制作にこだわり、筆を握り続けてきたという。
その5年後に描かれたこの絵。とても右半身不随に陥った人が描いたとは思えない素晴らしさ。
やはりこの梅は作者の自画像なんでしょうね。そう思うとなおさら震えがくる作品です。



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