『大エルミタージュ美術館展』

2012 / 07 / 06 by
Filed under: 展覧会日記 
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『大エルミタージュ美術館展』

『大エルミタージュ美術館展』

2012年7月4日(水)、標記展覧会を観に、国立新美術館へ行きました。

本展は、ロシアが世界に誇るエルミタージュ美術館の収蔵品で、ルネサンス以降の西欧絵画史を概観しようとする試み。

何の裏づけもなく物言いますが、本年度は『○○美術館展』という展覧会が多い気がする。
今現在も上野で『ベルリン国立美術館展(ドイツ)』と『マウリッツハイス美術館展(オランダ)』が開催されているし、『ストラスブール美術館展(フランス)』が各地を巡回中。そしてやはり上野で『メトロポリタン美術館展(アメリカ)』も控えている。

これらの展覧会も本展同様、一美術館の収蔵品で西洋美術史を概観するってのがテーマなんですかねぇ。
でも、それってちょっと厳しくないですか? いくら各国が世界に誇る美術館とは言え、一美術館の収蔵品だけですよ?
単に知識が乏しいからそう感じるだけなんでしょうかねぇ。

ミーハー愛好家としては、いっそ、その西洋各国が誇る美術館の至宝が日本で観られる、と開き直りますか。
ベルリンなら「真珠の首飾りの少女」、マウリッツハイスなら「真珠の耳飾りの少女」だけを目当てに行くとか。なんか『ベルリン国立美術館展』はフェルメール一点豪華主義だなんて話も聞くけど。

それはともかく『大エルミタージュ美術館展』の話。
第1章(16世紀)、第2章(17世紀)、第3章(18世紀)までのアカデミズム絵画群。
16世紀宗教絵画は色が実に鮮やかで目を惹きますが、それ以外は何か華がないというか、観ていて訴えかけてくる迫力がない。
もちろん迫ってくる絵は何点もありますよ。特に「ローマの慈愛」(ルーベンス)はオーラ放ちまくりですね。
でも総じて精緻さに欠ける、ぶっちゃけラフな絵が多くて、ボンヤリとした印象。

光と影を扱った2枚が隣り合って並んでいました。「ヤコブに長子の権利を売るエサウ」(マティアス・ストーマー)と「幼少期のキリスト」(ヘリット・ファン・ホントホルスト)。前者は光と影が実に巧みに描かれていて、人物の心の中が透けて見えてくるのに対して、後者はいまいちパッとしない。これなどは作家の技量ってものをまざまざと見せつけてくれるなぁ、と強く感じました。

最も威信をかけるべき「エカテリーナ2世の肖像」(リチャード・ブロンプトン)が全然パッとしないってのは、一体どういうことなのか、と訊きたいもんです。女帝はそういうのに大らかな人だったんすかねぇ。

まぁそんな感じで巧い絵とあまり巧くない絵が並んでいて、何となく目が肥えたような錯覚(?)を覚えながら第4章(19世紀)、第5章(20世紀)に進んだわけです。
印象派が登場した当初は散々に貶された理由が理解できた気がする。
絵肌はガサガサ、線は乱雑。心底、汚い絵だなぁ、と痛感しました。

本展での私のお気に入りは「死の天使」(オラーズ・ヴェルネ)と「洞窟のマグダラのマリア」(ジュール・ルフェーヴル)。
前者は画面中央の死女の抜けるような肌の白さと流れるような金髪の美しさに酔いました。
後者はマリアの肌の滑らかさ。絵画全体のルックスだけでなく、実際に真っ平らにならした絵肌が惚れ惚れする美しさ。
でも本当は「ローマの慈愛」に描かれた、ペロの放り出された乳房に浮かぶ青い血管に吸いつけられました。きっとルーベンスもおっぱい血管フェチだったに違いない!

ベルリン国立美術館展

  • 国立西洋美術館 2012年6月13日(水)~9月17日(月)
  • 九州国立博物館 2012年10月9日(火)~12月2日(日)

マウリッツハイス美術館展

  • 東京都美術館 2012年6月30日(土)~9月17日(月)
  • 神戸市立博物館 2012年9月29日(土)~2013年1月6日(日)

ストラスブール美術館展

メトロポリタン美術館展

  • 東京都美術館 2012年10月6日(土)~2013年1月4日(金)


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