『空想の建築 ―ピラネージから野又穫へ―』

2013 / 05 / 28 by
Filed under: 展覧会日記 
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『空想の建築 ―ピラネージから野又穫へ―』

『空想の建築 ―ピラネージから野又穫へ―』

2013年5月11日(土)、町田市立国際版画美術館で標記展覧会を観ました。会期は2013年4月13日(土)~6月16日(日)。

考古学的調査で得られた学術的情報に、描き手の想像力を加えて描かれた古代エジプト建築。
版画「牢獄」シリーズのピラネージが、かくあるべしと描いた理想都市としてのローマ。
あるいは、ルネサンスから近代、そして現代の、版画によって表現されたいろいろな建築物や都市。

版画のみならず、油彩画や立体表現までも加えた展示物により、現実には存在しない幻想的な建造物の世界で心を遊ばせる展覧会です。

個人的に興味深く観たのは以下の3つ。

まずは、19世紀イギリスの画家ジョン・マーティンによる、ミルトン「失楽園」や旧約聖書の挿絵版画。
「失楽園」というと岩波文庫しか読んだことのないワタクシ的には挿絵は全葉を見てみたい。

次に、現代フランスの版画家エリック・デマジエールがボルヘス「バベルの図書館」から着想した版画集。
幾何学的図形によって構成された外観や内装が実に幻想的。

そして最終章として、展示室ひとつをまるまる使った野又穫の油彩画群。
以前、東京オペラシティアートギャラリーの収蔵品展コーナーで2点くらい観ました。なかなかソソる絵だなぁと感じた記憶がありますが、今回は35点というまとまった数の、塔やビル、モノリス建造物などの数々を観ることができました。
いずれも面白いですが、とりわけ好みなのは、ブリューゲル「バベルの塔」を近未来の時空に配置した、海べりの人工島に建築途中の円形高層建築。観ていてワクワクします。
もうひとつの急峻なバベルの塔の方も好きだ。

また、常設展示室では本展関連企画として『ELEMENTS ―あちら、こちら、かけら』野又穫ドローイング展も併催中。
こちらは朝日新聞に2年間に渡って連載されたものの挿絵の原画をしたものだそうで、およそ80点の小さな作品群で構成されています。本展で堪能した油彩画群のアイディア・スケッチ的といった印象で、こちらも興味深く拝見。

しかし横須賀から町田ってのはちょっと遠い。近場だったらあと2回くらい行きたい、それくらい萌える展覧会でした。



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