『葛飾応為「吉原格子先之図」-光と影の美』

『葛飾応為「吉原格子先之図」-光と影の美』
2014年2月13日(木)、太田記念美術館で標記展覧会を観ました。
先だって観た江戸東京博物館の『大浮世絵展』の感想でも触れましたが、葛飾応為《吉原格子先之図》といえば、ため息が出るほど美しい陰影表現に酔い痴れることができる肉筆浮世絵なわけです。
それをフィーチャーリングした本展は、《吉原格子先之図》に加え、陰影表現や月や夜景といった夜間の表現、光そのものを描こうとした花火や閃光、光輝の表現など、タイトルどおり光と影を扱った浮世絵作品が観られます。
ぶっちゃけ観る前は、《吉原格子先之図》一点豪華主義で、あとは埋め草という鑑賞態度でおりました。
まぁ実際、その予感はほとんど間違えてはいなかったと思うんですが、でも見応えがある作品もあるわけで、やはり小林清親の光線画の陰影表現には目を瞠ります。
清親作品は4点展示されていましたが、《両国花火之図》《池の端花火》の2点に目が惹かれました。特に後者の、シルエットとして描かれた人物や、モノトーン・ベースの画面にポツンポツンと点る赤い提灯は、詩的で実に美しい。
あと、井上安治《銀座商店夜景》の、室内灯に照らされて店の外に伸びる人々の影も味わい深い。
なお、小林清親《両国花火之図》の隣には、歌川豊国《両国花火之図》という、同じ場所同じ舞台を扱った作品が並べて展示されているのがありましたが、ちょっとした時代の違いで、これだけ表現様式が異なるのかぁ、と、なかなか興味深いものがありました。
小林清親《両国花火之図》
小林清親《池の端花火》
井上安治《銀座商店夜景》
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