『小泉八雲 ラフカディオ・ハーン 展』

2010 / 10 / 17 by
Filed under: 展覧会日記 
Bookmark this on Delicious
[`livedoor` not found]
[`yahoo` not found]

『小泉八雲 ラフカディオ・ハーン 展』

『小泉八雲 ラフカディオ・ハーン 展』

凄いぞ神奈川! 偉いぞ神奈川!

今、神奈川県営のふたつの施設(ひとつは厳密に言うと県出資の財団法人)で、町のお化け好きとしては見逃せない、聞き捨てならない展覧会が開催されています。ってなわけで2010年10月16日(土)行ってきました港横浜。

まずは、神奈川近代文学館において2010年10月2日(土)~11月14日(日)でおこなわれている標記展覧会の話。

小泉八雲といえば「怪談」。私ももちろん読んでいます。でもそれを著した小泉八雲のひととなりには別に興味なくて、一般教養レベル未満のことしか知りませんでした。この展覧会では全部で4章構成になっており、来日してからその生涯を閉じるまでのヘルン先生について概観できるようになっています。

ひとつ面白いなぁと思ったのは水木しげる先生とよく似た部分があったということ。
ラフカディオ・ハーンはアイルランドの人なんだそうです(厳密には父がアイルランド人、母がギリシア人)。
アイルランドといえば妖精の本家。そのアイルランドの地でヘルン先生は大叔母さんから妖精譚を数多く聞いて育ったことが怪談を耽溺する契機になっているとのこと。
天孫神話よりも古い、根堅州国・出雲神話の舞台近くである鳥取県境港という地で、のんのんばぁというお婆さんから妖怪話を数多く聞いて育ったことで妖怪の大家になった水木先生と境遇が実に良く似ているじゃありませんか。

で、最後の第4章は「怪談」がメインの展示になっているんですが、そこで「怪談」の成り立ちについての展示を見て、いろいろ考えさせられました。
「怪談」に収録された話には、もちろん、古い日本の書籍にその原典があるんですが、その原典にある話をそのまま記述したわけでもない、ということでした。
ハーンが妻に日本の古典籍を読んでもらい、自分の気になったことをいろいろ聞き質し、それを英語で文章にし、アレンジもいろいろ加わっているとのこと。
言われてみればそうだよなぁ。ヘルン先生日本語読めなかっただろうし、「怪談」の原稿は英語で書かれてるしな。

たとえば「むじな」は町田宗七編「百物語」の第20席と第33席をブレンドして書かれたもので、前者はムジナがのっぺらぼうに化けて人を驚かした話で、後者は顔の長い化け物による二度の威嚇の話だそうだ。
それ以外の話でも、チョイスの元が怪異本や志怪翻案、仏教譚、伝聞と、幅が広いというか、ひとつの著書としてまとめるにはとりとめがないという印象で、ちょっとモヤモヤする気分を味わいました。

そのモヤモヤ感は外国人の眼というフィルターを通したチョイスが、日本人である私の心性にビミョーなズレを感じさせるものなんじゃないだろうか。そんな、今まで意識してなかったけど、でも実は当たり前のことを意識されられた展覧会でした。

今度は改めてそういう目で「怪談」や「骨董」を読んでみよう。



Comments

Tell me what you're thinking...
and oh, if you want a pic to show with your comment, go get a gravatar!





WP-SpamFree by Pole Position Marketing