『モローとルオー ―聖なるものの継承と変容―』

2013 / 11 / 12 by
Filed under: 展覧会日記 
Bookmark this on Delicious
[`livedoor` not found]
[`yahoo` not found]

『モローとルオー ―聖なるものの継承と変容―』

『モローとルオー ―聖なるものの継承と変容―』

2013年11月2日(土)、パナソニック汐留ミュージアムで標記展覧会を観ました。会期は2013年9月7日(土)~12月10日(火)。

ギュスターヴ・モローとジョルジュ・ルオーは師弟関係にあったとか。しかも相互にかなり強い親愛の情を抱く関係だったという。
ギュスターヴ・モローの教育方針は当時としては画期的というか異端というか、デッサンによって形を正確に捉えることよりもむしろ、奔放なる色遣いを重要視したため、ルオーやマティスなど、鮮烈な色遣いの画家の出現に貢献したという。

本展はそういったことをテーマにしたものだそうですが、私としてはモローといえば《出現》や《オイディプスとスフィンクス》に代表される、キリスト教説話やギリシア神話の世界を幻想的に描く象徴主義の画家というイメージがあり、そしてその幻想性に強く惹かれるものであります。よってモローにのみのめり込んで観てきた次第。

ユピテルとセメレ》における、トーガ風装束ではなく、半裸で冠や光背らしきもの纏ったギリシア神話の最高神ゼウス。
ヘラクレスとレルネのヒュドラ》におけるヒンドゥー教の蛇神ナーガの石像意匠をベースに、複数ある頭はすべて異なるヘビとして描かれているヒュドラ。

オリエンタルというかエキゾチックというかペイガニスムというか、ビジュアルとして映え方が斬新ですね。
これは水木しげるマンガと同じで、コラージュの妙の勝利でしょう。いやーかっこいいっす。

あと、《油彩下絵》と名づけられた、速描きなんだか、習作なんだか、世界初の抽象画なんだか、よく分からない作品が3点ばかり展示されていました。色遣いやキャンバス上を流れる絵具の形状などが心惹かれる作品群で、興味深く観ました。

つけ足し的でアレですがルオーについてにも。
ルオーは、初期の陰影によるオーソドックスなリアリズム系作品よりも、黒く太い輪郭、厚塗りの画肌、鮮烈なオレンジ、黄、青というカラーリング、平板な造形という独自性を獲得してからの作品の方が、はるかに良いですね。



Comments

Tell me what you're thinking...
and oh, if you want a pic to show with your comment, go get a gravatar!





WP-SpamFree by Pole Position Marketing