『円山応挙 -空間の創造』

2010 / 11 / 14 by
Filed under: 展覧会日記 
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『円山応挙 -空間の創造』

『円山応挙 -空間の創造』

2010年11月6日(土)は三井記念美術館に2010年10月9日(土)~11月28日(日)の会期でおこなわれている標記展覧会に行ってきました。

円山応挙と言えば、我々、町のお化け好きの間では、足のない幽霊を初めて描いた絵師(実はそうとも言えないそうだけど)ですが、本展覧会はそれとは全く関係ありません。

空間の創造というテーマで、当時、日本ではあまり知られていなかった、西洋的な遠近法によって描かれた、近くに寄って見る「眼鏡絵」と、広大な画面を使った、遠くから眺める「屏風絵」や「襖絵」、この二極の画面構成の違いを主とした展示がなされています。

この、近くに寄って見る絵と、遠くから眺める絵、それぞれを描くに当たっての考え方について、応挙がどのように考えていたのか、ということを記したものが展示されていました。
展示番号21「萬誌」というものです。
現代文に訳すと、以下のような文章が記されているとのこと。

応挙が語ったこととして春台がはなしてくれたことである。
掛軸・屏風・襖絵などは、絵画と間をとって鑑賞したときに効果があるように描かねばならない。
近寄って見ると筆が連続していないところがあっても、遠見には真のごとく見えるおもむきを心得るべきである。
近見の絵は、細かな部分も真に迫る体裁で、筆遣いや彩色も意識せねばならない。

これは、応挙の大画面絵画に対する考え方で、重要、かつ、よく知られているものだそうです。
油彩画なんかまさにそうですよね。近くで見ると、乱雑に絵具が塗りたくってあるように見えても、離れてみると実にリアルに見える。

で、全体の感想。

前半に展示されている眼鏡絵ですが、この時代この西洋遠近法はたいしたもんだ、という印象。
でも本展覧会で本当に凄いのは、後半に展示されている遠見の絵の数々。

掛軸、屏風絵、襖絵、いずれも見入ってしまう素晴らしさ。町のお化け好きとしては「雲龍図屏風」に目が惹かれ勝ちですが、他のも素晴らしい。
特に一番最後の展示されている本展覧会の目玉のひとつである「雪松図屏風」には目を奪われっぱなし。
雪を表す塗り残した紙の白と、描かれた松である墨の黒の対比。そして空というか空気というか、画題である雪と松以外の空間が金泥(?)で淡く黄色に塗られているんですが、この3色のアンサンブルが実に美しい。
そして画力ももちろんなんですが、画面構成の妙も目を見張る一因。これは日本美術一般の特性だと思うんですが、空白(間)の使い方が良いですよね。
間があることで主題も引き立つし、画面内がみっしり詰まっていないことで、心に安らぎが生じます。

いやあ日本の画って実に良いですね。



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