『パウル・クレー おわらないアトリエ』

2011 / 07 / 11 by
Filed under: 展覧会日記 
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『パウル・クレー おわらないアトリエ』

『パウル・クレー おわらないアトリエ』

2011年7月9日(土)は国立近代美術館で2011年5月31日(火)~7月31日(日)おこなわれている標記展覧会を見てきました。

パウル・クレーと言えば、日本でも大人気の画家ですね。
クレーの絵は独自性の高いものですが、描く技法だけでなく、描いた後に切り貼りで再構築して作品にしたり、あるいは描いた後に分割して複数の作品にしたりと、作品を完成させるプロセスも独特な画家なんだとか。

本展覧会は、そんなクレーの物理的な制作プロセスをテーマに、以下の6章立ての展示がおこなわれていました。

  1. 過去/進行形 アトリエの中の作品たち
  2. 写して/塗って/写して 油彩転写の作品
  3. 切って/回して/貼って 切断・再構成の作品
  4. 切って/分けて/貼って 切断・分離の作品
  5. おもて/うら/おもて 両面の作品
  6. 過去/進行形 ”特別クラス”の作品たち

わたし展覧会で芸術作品を鑑賞するに当たって、その作品自体が美しいとか、心に刺さるとか、そういう観点からしか見ない人なんで、ぶっちゃけ、作品が作られる過程とかあんま興味ないんですよねー。

ですが、第2章で解説されていた「油彩転写」というクレー独特の技法は、かなり興味深いものでした。
擦れたというか、汚れたというか、クレー独自の描線と画面はこのようにして作られ、そのため水彩でも滲まないのかぁ、ということを知れたのは、勉強になりました。これは良かった。

再構成作品は、どれも成功しているとは思えず、分離作品は、分離前の方がイケてるなぁ、と感じる作品が多かった。両面は、一部を除いては、技法的な観点から意図的にそうしたものでなく、気に入らない作品の裏を使って描いた、ってことなんじゃないすかね。

そんなわけで私としては、第2章だけが心に残りました。

ところで、何すかあの展示の仕方。めちゃくちゃ興醒めっす。

混雑してるせい大行列なわけですよ。で、隣のブロックに移動した際、そのブロックの最初の絵に到達するまで、かなりの長いこと列に並ばざるを得ないんですわ。まぁそういうのは、混んでる展覧会では当たり前のことなのでそれは措きます。

問題なのは、各ブロックがヘンテコな矩形で構成されていて、それを一周するようになってるんです。なのでひとつのブロックの中でも、曲がり角ごとに、先に記したブロック移動時と同様の、列に並ぶだけで絵が見られない長い時間に置き去りにされるんですよ。
各ブロックは四角形から六角形の、しかも凸包じゃないというクレージーぶり。なので、1ブロックごとに鑑賞の中断が4~6回も発生するわけで、これはもう拷問と言ってもよいレベル。

ガラ空きの展覧会ならともかく、クレー展なんて言ったら混雑するに決まってるんだから、もうちょっと鑑賞者のこと考えてもらえなかったんですかねー。

でもこういうクネクネ順路にしないと、作品が展示しきれなかったのかなぁ。

なおこの日は、この展覧会の前に、神奈川県立近代美術館の葉山館で「モホイ=ナジ/イン・モーション」という展覧会を見ました。
また国立近代美術館の常設展では、ヨハネス・イッテンのミニコーナーがありました。

モホリ=ナジパウル・クレーヨハネス・イッテンと、期せずしてこの日は、バウハウス講師陣展巡りとなったのでした。



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