『陰影礼讃』

2010 / 10 / 10 by
Filed under: 展覧会日記 
Bookmark this on Delicious
[`livedoor` not found]
[`yahoo` not found]

『陰影礼讃』

『陰影礼讃』

2010年10月9日(土)、板橋区立美術館のあとは乃木坂に移動。2010年9月8日(水)~10月18日(月)までおこなわれている標記展覧会を国立新美術館で見ました。

谷崎潤一郎が「陰翳礼讃」という書を著しているように、日本の文化には陰影がとても重要な役割を果たしています。私も好きです。
キービジュアルがロトチェンコの「階段」であるチラシなどを見るとかなり期待しちゃいますよね。

でも実際のことこの展覧会、「陰」や「影」をメインに据えた作品とは思えないものがけっこう展示されており、ちょっとズレてるんじゃないかなー、と見はじめ早々から感じたんですが、結局最後までそうでした。

「陰」や「影」を扱っていると思えるものは、写真ジャンルのものと後述する一人の作家のものだけ。
水に映る反射は「かげ」かもしれないけど、陰影と呼ぶにはかなり無理ありません?

展示されている作品は、けっこう面白い物がたくさんあったんで、この展覧会に行ったことは後悔してませんが、苦し紛れな企画だったなぁという印象。

でも、光を表現するために努力が払われて、印象派とか点描法とかいろいろ発達してきたけれど、陰影を表現することを目的にした絵画のスタイルやテクニックって思い浮かばないなぁ。
そもそも絵を描くって、対象を面で捉えることであって、それって対象の陰を捉えることなんですよねきっと。
ってことは陰影というのは絵画にとっては考える前に体が動いてしまうような、至極当たり前のことで、それをテーマにすること自体が絵画にはなじまないのかも。

だったら写真の展覧会を企画すべきでは、とも思うけどそこには大人の事情があるんでしょうね副題を見るに。

そんな中、高松次郎という作家の作品は、影自体を描いたもので、とても珍しいと思いました。「」という作品のマリリン・モンローのシルエットみたいな影とか「《影の母子像》のための習作」という作品とか、光源が二つあって、同じ影が二重写しになっているさまを描いた作品はかなり新鮮。

なお、今回の展覧会の諸作品の収蔵先である4つの国立美術館の収蔵品検索で「高松次郎」というキーワードで検索すると、影についての作品がいろいろ出てきました。この作家は絵画で影にこだわった珍しい人なんですね。

写真は陰影や影そのものを目的にシャッターを切ったものばかりなので、いずれも良かったです。
ロトチェンコの諸作品の幾何学的な影や、ユージン・スミス「楽園への歩み」の陰影など、実に美しいじゃありませんか。

ところでこの展覧会の出口に設置されたショップに、京都国立近代美術館での展覧会「とある美術の検索目録」の図録が置いてあった。狙いすぎとネットを席巻してましたなぁこのタイトル。
この図録、この展覧会の図録としても充分耐えうる作品ばかりが収録されているように思えましたよ、パラパラとめくった範囲の印象だと。
すでに板橋区立美術館で図録を買っており、荷物が重くなっていたため買わなかったんですが、今度、国立新美術館に行ったとき、地下だかにあるミュージアム・ショップに寄ってみよう。そこに置いてあったら今度こそ買おう。



Comments

Tell me what you're thinking...
and oh, if you want a pic to show with your comment, go get a gravatar!





WP-SpamFree by Pole Position Marketing