『生誕100年 岡本太郎展』

2011 / 04 / 18 by
Filed under: 展覧会日記 
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『生誕100年 岡本太郎展』

『生誕100年 岡本太郎展』

2011年4月17日(日)は二つの展覧会を見てきました。
まずはひとつめ。
竹橋の東京国立近代美術館で、2011年3月8日(火)~5月8日(日)の会期でおこなわれている標記展覧会について。

やっぱタロー先生の絵は迫力が半端ないっすねぇ。
他の作家と何が違うんだろうと思うに、個人的な印象では、原色系の色遣いとクッキリとした黒の輪郭線の使い方なんではないかなぁ、と改めて感じました。

あともう一つ主張すべきは、ウネウネ、クネクネとした曲線の気持ちよさですかねぇ。
曲線のイデアがあるとすれば、そのイデアをこの世界に具現化したものが、岡本太郎作品の曲線なんじゃあないでしょうか。

例えば下の絵「森の掟」の左上のピンク色の動物の腕のくねり加減。
こういう指のない先細りの腕はしばしば描かれていますが、その曲線には昔から、何とも言えない快さを感じてきた私です。

「森の掟」

「森の掟」

太陽の塔の実物は見たことないんですが、映像や写真ではよく見かけてました。
そのときから既に感じていたことですが、今回、太陽の塔の模型を見て、やはり太陽の塔の曲線も美しいなぁと思いを新たにしました。
その美しい曲線ってのは、一番上の金色の顔がくっついている当たり、人間に例えると首になるんですかねぇ。
ここが猫背っぽい緩やかな曲線を描いているんですが、これまた得も言われぬ美しさを湛えています。

ところで皆さんは1956年に公開された大映映画(現・角川映画)「宇宙人東京に現わる」という特撮映画をご存じですか?
小惑星が衝突して地球は滅亡するかも知れない、というSF映画なんですが、一杯飲み屋「宇宙軒」で繰り広げられる下町人情話から始まるという脱力っぷり。そして東京下町にある畳にちゃぶ台という日本家屋に突如出現するヒトデ型宇宙人というシュールな組み合わせ。その昭和30年代の薫りがイケてるにもほどがある映画なんです。
そのヒトデ型宇宙人、パイラ人のデザインはタロー先生によるものです。
第6章「消費社会との対決」のコーナーにそのパイラ人の構想スケッチが展示されていたんですが、なかなか興味深い物でした。

パイラ人

パイラ人

パイラ人と言えば、ヒトデがモチーフだろうというのが、誰でも抱く印象ですが、スケッチを見るに、ヒトデではなくて、分子構造がモチーフっぽい。
中央に丸い部分があって、そこから放射状に5本の線が伸びている。その軸の先端は中央の丸よりは小さい丸に刺さっている、というような、ベンゼン環のモデル(ベンゼン環は六角形だけど)なんかでお馴染みの形状を内骨格として、それを覆うように外側に線が描かれており、結果として、ヒトデのような形状になっているというものでした。
パイラ人のデザイン画もっとないのかなぁ、あればあるだけ全部見たいものです。

ところで、映画のパイラ人は着ぐるみなので、脚部はいかにも人の客が入っていますって感じで布が縒れており、足部はいかにも人の足が入っていますって感じで曲がっているわけですが、デザイン画を見るに、宙に浮かぶ生命体をタロー先生は構想していたんではないでしょうか。現在のCG技術で表現されたそんなパイラ人を見てみたいなぁ。



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