『山口晃展 東京旅ノ介』
今年初の美術展巡り、メゾンエルメスの次は、銀座三越の催事場で開催されていた標記展覧会を見に行きました。会期は2010年12月28日(火)~2011年1月10日(月・祝)。
大元となるイメージは平安期の絵巻物で、描かれている風俗・習俗、建造物などは過去や現在、そして未来までもがモザイク状に混淆した摩訶不思議な世界を産み出す想像力の豊かさ。そんな画題をねじ伏せるように描く緻密で卓越した画力の強さ。
山口晃作品の前に立つと、その作品が放つパワーにいつも圧倒されますね。
ところで今回の展示では絵画作品ばかりではなく、日経新聞だかに連載していた私が美を感じるもの的なエッセイの抜き出しも展示されていました。
社務所のこまごましたものに対し感じる美に共感しました。
また、赤白に塗り分けられた鉄塔に日本人が美を感じる理由は、その色づかいが飛鳥朝から続く美の系譜の上にあるからだ、との喝破に目から鱗が落ちました。
しかし何といっても電柱に対する偏愛ですよ。
私も電柱大好きです。特にポリバケツを思わせる形状の灰色の変圧器(?)が好みです。
電柱の間を延びる電線の撓みもそそりますよね。
何でも絵画的な見方をすると、電線は絵画の要素である「線」そのものであり、撓みによっていろいろな表情をつけることができる、また電柱の配置などによって黄金分割などの美を容易に作り出せる、そんな優れたアイテムなんですよ電柱は、との指摘に、これまた、目を開かされました。
優れた画家の優れた観察眼や考察力に触れると、こちらの心まで豊かになりますよね。このような展覧会を見ることができるというのは、実に幸せなことです。
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