『海辺のミュージアムでみる日本画展』
2014年2月16日(日)と3月15日(土)、横須賀美術館で標記展覧会を観ました。あと1、2回は観たい展覧会です。
本展覧会の会期は2014年2月8日(土)~4月13日(日)です。
以下、当時の冊子等がすでに撤去されており、確認ができないため、私の記憶で書きます。もしかしたら思い違いがあるかも知れません。
横須賀美術館では企画展を年間に6回開催します。
2012年度末頃、2013年度の年間予定が示されたとき、企画展は5回しか予定されておらず、2、3月は空白になっていました。そのため2013年度の年間パスポートも従来の年度より安価だったように記憶しています。
また、常設展は年会に4回開催されるんですが、その第4期として、横須賀美術館所蔵日本画展が組まれていました。
では、企画展の空白期間、横須賀美術館はどうなる予定だったのか。
2013年3月25日の横須賀市議会において、以下のようなやり取りがありました。
市長「美術館でシンガーソングライターの展覧会やるから2000万円予算つけてください」
議会「誰の、どんな展覧会やるんですか」
市長「それは教えられないな」
議会「そんな予算つくか!」
- 平成25年第1回定例会・予算決算常任委員会(03月25日-29号のうち以下の2委員とのやりとり)(横須賀市議会会議録)
- P.34角井基委員から始まる市長とのやりとり
- P.45青木哲正委員から始まる市長、経済部長とのやりとり
- よこすか市議会だより(平成25年7月1日号 1ページ目最下段「集客プロモーション事業」)(PDF)
市長の目論みでは、『ラルク展』のような、美術館現場を軽視した、電通丸投げごり押し企画を捻じ込む予定だったんでしょう。
しかし議会に阻まれた結果、2014年2、3月は穴が開いてしまい、市長の尻拭いをさせられた美術館が、急遽、常設展を企画展にスライドさせ、この『海辺のミュージアムでみる日本画展』が実現したのではないかと推察されます。
でも個人的には、この展覧会、かなり良い企画だと思うんですよ。
地元の美術館が、これだけ見応えのある日本画を、これだけ多く所蔵していたとは。興味深く拝見しました。
横須賀美術館にとっては怪我の功名だったんではないでしょうかねぇ。
3月15日(土)は学芸員によるギャラリー・トークを聞きました。その際、この展覧会は単館所蔵作品の羅列で展覧会としてのコンセプトが弱い、という旨の発言があったわけです。
学芸員の視点ではそうなのかも知れませんが、公立美術館としては、自館所蔵品を自治体住民に広く知らせる、ということも、立派な美術館の事業目的ではないかと考える次第です。
また私は、東京都美術館で開催中の『世紀の日本画展』((前期感想、後期感想))の分科会的な意味合いを勝手に持たせて、鑑賞しました。
小茂田青樹《虫魚図巻》は、国立近代美術館所蔵の6面ものと、横須賀美術館所蔵の4面ものと、一度に全部観ることもできましたし、鏑木清方の美人画成分もこちらで吸収しましたし。
『世紀の日本画展』と『海辺のミュージアムでみる日本画展』。併せての鑑賞を皆様にオススメする所存。
以下、印象に残った作品の羅列をば。
- 前田青頓《をぼこ》
- 橋本雅邦《雷神図》
- 鏑木清方《江の島 箱根》
- 伊藤憲《潮騒》
- 小嶋祐司《穢土―黙》
- 山中總《遊子》
- 上野泰郎《押し流される民族》
- 上野泰郎《いのちへの道》
- 中村岳陵《白狗》
- 竹内栖鳳《狐》
- 堅山南風《日午》
- 奥村土牛《鵜》
- 小茂田青樹《虫魚図巻》
オレ的一押しは伊藤憲《潮騒》。画像がないのが残念。
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