『東洋の白いやきもの』

2012 / 09 / 19 by
Filed under: 展覧会日記 
Bookmark this on Delicious
[`livedoor` not found]
[`yahoo` not found]

『東洋の白いやきもの』

『東洋の白いやきもの』

2012年9月15日(土)は、有楽町~日本橋の4大美術館ほか、いろいろ巡回してきました。
まずは出光美術館で、2012年8月4日(土)~10月21日(日)の会期でおこなわれている標記展覧会の感想。

東洋の白い焼き物といえば当然、白磁のことですね。
白磁に使われる釉薬は透明なもので、あの白は土そのものの色であるということを、この展覧会を観て知りました。
青磁の青い釉薬がどんどん薄まって透明な釉薬になったことで白磁が生まれたとか。
その過程で、青磁の釉薬よりは薄いが完全に透明になりきっていない釉薬による、全体としては白磁だが、釉薬が厚く溜まった部分は青い、青白磁というものも生まれたらしいです。

たしかに白磁の白は美しいと思います。でも白磁あまり好きじゃないんですよねー。
じゃ何でこの展覧会を観に行ったのかというと「白天目」なる茶碗が展示されるという情報を得たからです。
天目茶碗というと先般、根津美術館で観てきましたが、金属光沢を放つ藍色と蛇の目模様の美しさが印象的なものです。
その天目で、白い茶碗とは一体如何なるものなのか。

美しい白色で、釉薬の艶は強く、ピカピカ輝いています。
見込み(器の内側の底)には美しい青緑色が溜まっており、それがあたかも風が渡る湖のよう。青白磁に使われた釉薬と同じように、うっすら青い色がついた釉薬が使われているんですかね。
口縁は金泥で縁取られ、全体に大きめの貫入が走っています。今まで見てきた茶碗と違うのは、その貫入が黒く、とても目立つということ。たとえ器全体が白いとはいえ、この黒さは実に強い。茶渋が滲入して色づいた状態なんでしょうか。
器の肌合いや釉薬のかかり方やその変化など、陶器の鑑賞上のポイントを「景色」と呼ぶそうですが、茶碗を使い続けることで、器の表面に染みが浮き出てきたり、釉薬の艶が落ち着いてきたり、ひびが目立ってきたりと、その景色は徐々に変化します、それを「茶慣れ」と呼び、古来、人はそれを愛でたとか。
この黒いひび割れも、その茶慣れの結果なんでしょうか。

そんなわけで白天目には、きらびやかな金属光沢も美しい蛇の目模様も、いずれもありませんでした。
曜変天目のような派手さを期待して行ったので、その点ではかなり拍子抜けでしたが、白天目は清楚で美しい器です。貫入萌えとしては大振りで目立つ貫入もおおいに堪能させてもらいました。

この白天目なる茶碗、美濃焼の大名物で、現在は徳川美術館が所蔵する重要文化財とのこと。展示期間は、2012年8月4日(土)~9月30日(日)と、会期前半のみなので要注意!



Comments

Tell me what you're thinking...
and oh, if you want a pic to show with your comment, go get a gravatar!





WP-SpamFree by Pole Position Marketing