『妖怪まつり』

2011 / 08 / 09 by
Filed under: 展覧会日記 
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『妖怪まつり』

『妖怪まつり』

2011年8月7日(日)は銀座から東京にかけて、いくつか展覧会・展示会を見てきました。
そのレポの最初は、銀座三越のアートスペース∞でおこなわれている標記展覧会について。
会期は2011年8月2日(火)~9日(火)。

ぶっちゃけずいぶん苦し紛れな企画だなぁ、というのが第一印象。
展示物は以下のふたつ。

ひとつは、アダチ版画研究所復刻による、葛飾北斎「百物語」全五図

もうひとつは、京極夏彦作品(文庫本)の装丁でおなじみの荒井良さんによる「妖怪張り子」4点(作者ブログによる当該展案内)。

こんだけで「妖怪まつり」だなんて、妖怪を代表するような名称は、ちょっと烏滸がましいような……
会場が狭いからあまりたくさんの種類のものは展示できない、かと言って、どっちか片方だけじゃ会場が広すぎる、という制約上このような企画になったんですかねぇ。

でもなぁ…… 同じ会場で1週間後、2011年8月17日(水)~23日(火)の会期で『~江戸からの系譜~「荒井良の妖怪張り子」と「現代の根付」展』というのが企画されていて、そこで再び「妖怪張り子」シリーズは展示されるんだよなぁ…… ソレどうなんすかね。
アダチ版画研究所のソレ系の浮世絵の展示だけにした方が焦点ハッキリして良かったんじゃないすかね。

そんな何とも釈然としない企画ですが、葛飾北斎「百物語」の復刻は見ごたえがありました。アダチ版画研究所サイトのコラムを併せて読むとさらに興味がそそられる。

葛飾北斎「百物語」全五図というのは、「お岩さん」「こはだ小平二」「さらやし記」「笑ひはんにや」「しうねん」の5枚です。「笑ひはんにや」と「しうねん」は何を典拠としたものか分らないそうですが、はじめの三つは有名過ぎるほど有名な怪談ですね。
順番に「四谷怪談」「小幡小平次」「番町皿屋敷」。真ん中はいまいち知名度低いか。

ところでこの三つの怪談は、京極夏彦の「嗤う伊右衛門」「覘き小平次」「数えずの井戸」それぞれの元ネタでもあります。巷説百物語シリーズと同じ世界観で展開される「江戸怪談シリーズ」ですね。

あっ! ってことは、この展覧会、葛飾北斎と荒井良という何の脈絡もないふたつを並べるとは何と苦し紛れな、と思ったけれど、方や京極夏彦の本の文章、方や京極夏彦の本のビジュアル、と京極夏彦の本を仲介することできれいにつながるって寸法か!

そんな深い意図に気づかず、表面だけ見て批難した自らの不明をおおいに恥じたいと思います。

そっかー、京極夏彦プロモーション企画だったんだー。
だから最新著作であるところの「文庫版 妖怪の理 妖怪の檻」の現物と、その装丁に使われた「白澤」のフィギュアが良いポジションにドドーンと飾られていたわけなんだなぁ。



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