『國方善博展 -黒い陶 Moon Trip-』
2010年10月2日(土)展覧会巡り、4番目に訪れたのは INAX ギャラリーです。
ここは3つの展示室に分かれています。巡回企画展をおこなうギャラリー1、コンテンポラリーアートの展示スペースであるギャラリー2、そして陶による作品の個展空間ガレリアセラミカ。
今回観てきたのはガレリアセラミカで開催されている標記展覧会。会期は2010年9月7日(火)~10月5日(火)。
展示空間および展示作品は、公式ページでその全貌を観ることができるので、そっちを観ていただくと一目瞭然なんですが、10数点ある展示物は、すべて同じモチーフです。
蓮の葉の下にクラゲの触手のようなものをぶら下げたオブジェ。パッと見、火星人を思い起こさせるフォルム。
その展示方法は、床なり台なりの水平面に立っているだけでなく、壁などの垂直面に貼り付いたり、ぶらさがったりもしています。垂直面に配置してあるものは、観客には見えないようになっていますが、ネジで縫いつけてあります。
そしてその作品の質感ですが、存在を始めてから長い時間が経ったために錆びて緑青が浮いた銅のような感じです。
しかしこれは陶で作られた物。何で陶をつかったコンテンポラリーアートは鉄を模したがるんだろうなぁ、ということを感じました。良し悪しの話じゃなくて純粋な疑問としてね。
こういう質感でこういう展示をさせるならブロンズで作った方が、遙かに簡単かつ安全で、さらにリアルだと思うんだけど、以前、国立新美術館の「アーティストファイル2010」でも鉄を模した巨大な陶のオブジェを観たんすよねー。
で、こっから先は個人的な嗜好の話。
陶には陶の、他の素材は持ち得ない特性や得意分野、優位性というものがありますよね当然。
それに反したものを作るのもチャレンジだとは思いますが、でも模すってのは結局は紛い物なわけで、本物には絶対勝てないと思うんですよ。
それよりは素材の優れた部分を伸ばして尖らせる方に、私は意味や意義を感じます。
今回の場合でいうと、実際にブロンズで作ったときに発生する緑青の存在感は、本物なんだから何よりも強いわけです。
で、この後観た『第57回 日本伝統工芸展』陶芸の部の諸作品や、過去に観てきた陶による種作品など、いろいろ鑑みるに、自分はアートとしての陶ではなく、工芸としての陶が好きなんだ、ということを再認識しました。
鉢や皿、壺なども良いですが、とりわけ茶碗に惹かれるようです。
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