『フランダースの光』

2010 / 10 / 11 by
Filed under: 展覧会日記 
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『フランダースの光』

『フランダースの光』

光あるところに影がある。
陰影礼讃』で欲求不満なわたくしは、影がダメなら光を見に行こうと考えたのでした。

私の知る限り、今開催されている、光にまつわる展覧会はふたつあります。

ひとつは府中市美術館でおこなわれている『バルビゾンからの贈りもの』展。しかしもうすでに閉館時間を迎えている(このとき六本木で17時)。

てなわけで、2010年10月9日(土)、最後の展覧会は、もうひとつの方に行くことになりました。

渋谷の Bunkamura ザ・ミュージアムでおこなわれている標記展覧会です。会期は2010年9月4日(土)~10月24日(日)。ここなら土曜日は21時までやってるから余裕っち。

この展覧会、舞台はフランダースです。フランダースといえばベルギーです。
ベルギーといえば、つい先だって東京オペラシティアートギャラリーで見てきたばかりじゃん。

てなわけで『アントワープ王立美術館コレクション展』で見てきた画家とかぶっていたりしますが、表現主義で強く印象づけられたフリッツ・ヴァン・デン・ベルグ(フリッツ・ファン・デン・ベルヘ)の作品が12点も展示されていたり、あるいは、その静謐さに心打たれたヴァレリウス・ド・サードレール(ヴァレリウス・デ・サデレール)「フランドルの雪景色」の別バージョンとも呼べる「冬の平原」や「冬景色(大)」が展示されているなど、両方の展覧会を観ると補完的な捉え方ができるようで、けっこう良かったと思います。

エミール・クラウス「ピクニック風景」

エミール・クラウス「ピクニック風景」

そして本展覧会の一番の収穫。それはエミール・クラウス(原語によるイメージ検索)という画家に巡り会えたこと。
この画家の描く光は、なんと暖かみのある素晴らしい表現なんでしょう。実に感動的です。
本展覧会のキービジュアルになっている「刈草干し」もとても美しくて暖かそうなんですが、「ピクニック風景」という絵はその日差しがとても柔らかく、のどかな感じが出て、これまた心打つ作品です。

私は印象派って基本的にあまり好きじゃあないんですよね。光を捉えようと研鑽を重ねたところや点描法を生み出したところは評価してますけど。
何でだろうなぁ、と考えてるんですが、おそらくデフォルメの度合いが肌に合わないんだと思います。ルノワールはそれほど嫌いではないけど、モネになると好きでない度がかなり強まる。特に一連の睡蓮とか。

今回出会ったエミール・クラウス。技法は印象派の筆触分割ですが、その分割の細かさのせいか、その絵は非常に写実的になっている。『アントワープ王立美術館コレクション展』でも印象派と写実が共存している絵はあったけど、今回のエミール・クラウスの絵は桁違いに画面から光の明るさがほとばしって見えるくらい美しい。なんという素晴らしさ。

本展覧会では数少ない画家をフューチャーリングして、ひとりの画家の絵を割合多く展示する方針に見受けられます。エミール・クラウスもそれら画家のひとりであり、11点の作品が展示されています。数多くの美しく感動的な絵を観ることができ、とても豊かな気持ちになれたのでした。



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