『逆柱いみり個展 歩く水泡眼』

2011 / 06 / 10 by
Filed under: 展覧会日記 
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『逆柱いみり個展 歩く水泡眼』

『逆柱いみり個展 歩く水泡眼』

2011年6月9日(木)の展覧会巡り、最後は新橋から表参道へ場所を移します。

南青山にビリケン商会という店があるんだそうです。怪獣のソフビ人形を主に扱っている店らしい。私その手のものに興味ないので初めて知ったんですが、ここではミニ展示会が定期的に開催されているとのことで、2011年6月4日(金)~15日(水)の日程で、標記展覧会が開催されています。

この個展を知るきっかけは Twitter 上の TL で見たツイートです。フォローすべきはステキ情報をたくさん書き込んでくださる人だなぁ、そういう人を大勢フォローした Twitter は強力な情報入手源だなぁ、という思いを新たにしました。自分も人の役に立つツイートをするよう努力したいものです。

ところで、逆柱いみりとは何者か。ガロおよびその後継であるアックスを活躍の場とするマンガ家さんです。
その昔ガロで「象魚」という短編を見て気に入り、たまにコミックスを買ったりしていました(「象魚」と「Mamafufu」は所持)。

この人の描く絵の私にとっての魅力は、その背景。
個人的な体験ですが、子供の時に行った神奈川県三浦市の城ヶ島で見た寂れた観光施設の記憶が刺激されて、郷愁を誘うんですよね(今となっては、実際に城ヶ島で見た景色なんだか、記憶が捏造した景色なんだか分らなくなってますが)。
東南アジアチックで無国籍な市場のような薄暗く雑多でごちゃごちゃした店並びは、魚屋や床屋、漢方薬屋など、脈絡のない店が寄せ集まっている。そんな中を電車が通ったり、くねくねした空中通路が巡っていたり、狭く細い階段が延々と続いていたり、そしてその先には奇妙な高層ビルが建っている。
夢の中の風景を思わせる非論理的なハイブリッド風景に誘われる郷愁…… とても気になる絵です。

今回はそんな不思議世界がモノクロのペン画(くすんだ朱色の紙に黒インク)と、カラーの油彩画で表現されていました。
今回展示されている絵は、そのいずれにも足の生えた水泡眼が彷徨っています。水泡眼ってのは眼の下にブヨブヨした袋が生えた金魚のことですよ。その水泡眼は馬替わりらしく、人のような動物が跨っています。彼らの旅行スナップ連作といった趣なんでしょうか。

夢の世界度がかなり強く、じっと見ていると眩暈をおこしそうな、とても幻想的な空間は実に魅力的。そしてジェニー・ハニバーをはじめとする店先に並ぶ雑多なアイテムや自動販売機、幟旗、うねる配管等々が興味深い。

展示空間は店の一角なので多少狭く、作品数もそれほど多くはありませんが、実に濃密な時間を堪能することができました。



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