『破天荒の浮世絵師 歌川国芳(後期)』

2011 / 07 / 25 by
Filed under: 展覧会日記 
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『破天荒の浮世絵師 歌川国芳(後期)』

『破天荒の浮世絵師 歌川国芳(後期)』

2011年7月22日(金)は太田記念美術館で標記展覧会を見てきました。

本展覧会は、2011年6月1日(水)~7月28日(木)と、約2か月の会期ですが、途中、全作品の展示替えを敢行し、前期と後期ではまったく異なる展覧会です。

2011年6月1日(水)~26日(日)の会期でおこなわれた前期は、副題が「豪傑なる武者と妖怪」で、武者絵、妖怪画などの力強くおどろおどろしい作品が展示されました。
今回見てきた2011年7月1日(金)~28日(木)の会期でおこなわれている後期は、副題が「遊び心と西洋の風」で、戯れ絵、美人絵、そして西洋技法を取り入れた絵などの、面白くて楽しくて心が和む作品が展示されています。

前期は2011年6月5日(日)に見に行って、いたく感動したんですが、後期も前期に負けず劣らず、見ごたえのある作品が並んでおり、これまた堪能いたしました。

まず「みかけハこハゐがとんだいゝひとだ」から始まる、人がたくさん集まって、ひとりの人になっている騙し絵のシリーズ。
アルチンボルドは、魚介類野菜で人を描きましたが、洋の東西を問わず、このような表現をしてるわけですねぇ。
なお、歌川芳藤の「五十三次之内猫之怪」という絵も、猫を組み合わせて猫の顔になるという、同系統の絵です。

シルエットになると、まったく違う画題が浮かび上がる騙し絵シリーズもいいですね。
釣竿を持った人がイセエビに早変わりする「其面影程能写絵 おかづり ゑびにあかがひ」や、金魚が舞い泳いでいる様のシルエットかと思ったら、実は八畳敷を広げた狸だったという「其面影程能写絵 猟人にたぬき 金魚にひごいッ子」などの騙し絵が楽しいです。

狸の八畳敷と言えば、それをテーマとした一連のシリーズも愉快。八畳敷を投網に見立てて漁をしていたり、太鼓に見立てて馬鹿囃子に興じていたり、生き生きとした様子が描かれています。

地階では、西洋画の技術を取り入れた絵が展示されています。透視遠近法や陰影など、日本の絵にはなかった技術が取り入れられた絵は、西洋のものでも日本のものでもない、何とも言えないエキゾチズムを醸し出していて面白い。

また、国芳は出島経由で入手したのか、ニューホフという人による「東西海陸紀行」という典籍にある挿絵の引用をしていたそうな。
近江の国の勇婦於兼」の風景を始めいろいろな絵で、挿絵の風景や人のポーズを借用している様子が、引用元と引用先を並べて展示することで、実によくわかるようになっていました。

ググったら附属図書館友の会トークサロン 「ふみよむゆふべ」の第9回の配付資料という、そこいらへんのことがとてもよくまとまった資料を見つけました。

いやぁ歌川国芳はすごいですなぁ。
今は静岡市美術館で開催されている没後150年 歌川国芳展』は、来年、六本木に巡回してくるわけです。
本展覧会と作品的にはだいぶ被ることとは思いますが、そっちも期待に胸膨らみまくりですよ!



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