『オルセー美術館展 印象派の誕生 ―描くことの自由―』

2014 / 08 / 07 by
Filed under: 展覧会日記 
Bookmark this on Delicious
[`livedoor` not found]
[`yahoo` not found]

『オルセー美術館展 印象派の誕生 ―描くことの自由―』

『オルセー美術館展 印象派の誕生 ―描くことの自由―』

2014年8月2日(土)、国立新美術館で標記展覧会を観ました。
会期は2014年7月9日(水)~10月20日(月)。

国立新美術館でオルセー美術館展というと、2010年にも開催されましたねぇ。
あんときはキャッチーな画家、キャッチーな作品が勢ぞろいで、ずいぶん混雑してました(『オルセー美術館展2010 ―ポスト印象派』会期:2010年5月26日(水)~8月16日(月))。
私も観に行きましたが、ルソー《蛇使いの女》が記憶に残っています。

さて、今回のオルセー美術館展は、アカデミズムから印象派に移行する、美術史における激動期がテーマ。
両者をつなぐポジションといえる画家エドゥアール・マネを中心に据えて、さしずめマネ祭りといった様相です。
どれくらいワッショイかというと、第1章は「マネ、新しい絵画」と題して、6点中5点がマネ、第9章(最終章)は「円熟期のマネ」と題して全6点がマネ。マネで始まりマネで終わるという構成で、展示品全84点中11点がマネ。しかも《笛を吹く少年》という超メジャー作品も来てるわけで、どんだけマネ押し。

ところで、わたくし何を目当てにしていたかといえば、アレクサンドル・カバネル《ヴィーナスの誕生》なのでした。
2009年に横浜美術館でも観ましたが(『フランス絵画の19世紀 ―美をめぐる100年のドラマ』会期:2009年6月12日(金)~8月31日(月))、何度見ても劣情(以下略)。

さて、同じ「裸婦」の章では、ギュスターヴ・クールベ《裸婦と犬》が《ヴィーナスの誕生》のすぐそばに置かれていました。
前者は1863年、後者は1861~2年と、ほぼ同じ時代に描かれたもの。
後者はアカデミズムにおける神話を建前にしか描けない理想化された裸体、前者はリアリズムにおける見たままの一般女性の裸体。
その哲学はまったく異なるが、技法的にはそれほど極端な違いがあるわけではなく、私としては同一の観賞態度で臨んだ次第。

あと、目当てだったのはクロード・モネ《サン=ラザール駅》。
「美の巨人たち」で見てから気になっていた絵ですが、意外と小さいんだなぁ、という印象。

今回、最も目を惹かれたのはジャン=レオン・ジェローム《エルサレム》。
キリスト磔刑図ですが、数多の磔刑図とは一味違う。
荒れ果てた大地に落ちるキリストたち処刑者の影と、処刑者を遠巻きに眺める人々が描かれているというもので、磔にされたキリストそのものは描かれていません。
ほのめかしで鑑賞者に考えさせるというのは日本人向きじゃないですかね。キリスト教ってところで日本人向きじゃないか。
それはともかく、主役である影が実に強烈な印象を残す絵でした。

公式サイト



Comments

Tell me what you're thinking...
and oh, if you want a pic to show with your comment, go get a gravatar!





WP-SpamFree by Pole Position Marketing