『不滅のシンボル 鳳凰と獅子』

2011 / 06 / 22 by
Filed under: 展覧会日記 
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『不滅のシンボル 鳳凰と獅子』

『不滅のシンボル 鳳凰と獅子』

横浜美術館で素晴らし過ぎる『長谷川潔展』を見た後は六本木に移動、サントリー美術館へ向かいます。何そのバカな巡回コース、ってのは重々承知のうえ。

現在開催中の標記展覧会の会期は2011年6月8日(水)~7月24日(日)で、終了にははまだ間があります。しかし本展覧会、かなり頻繁に展示替がおこなわれるんですよねー。二日後の2011年6月20日(月)までしか展示されていない作品がありまして、その展示期間残り二日の作品が見たくて、こんな頭悪いコースを組んだ次第。

その作品とは、伊藤若冲「樹花鳥獣図屏風」。

世間的にはこの絵、宇多田ヒカル「SAKURAドロップス」の PV でそのイメージに触れてる人が多いんでしょうかね。

最後の最後、曲がフェードアウトかかり始めた頃に写るのがまさに右隻そのもの。
まるで銭湯壁面のタイル絵のような趣。デジタルな現代ではドット表現は別に特殊な発想ではないですが、江戸時代にこんなの思いつく頭って一体何なんだと感嘆せざるを得ない。「桝目描」って呼ぶそうですが、どんな状況でこんな発想を得るに至ったのか。驚きですねぇ。

とは言っても手放しでは賞賛できません。なぜなら桝目が完全にデジタル扱いになっていないから。
動物の輪郭が桝目を横切っていたり、一つの桝目が別々な色に塗り分けられていたりと、ところどころシャギーになっていない部分がある。伊藤若冲のことだから手抜かりなんぞでは無論なく、何かしらの意図をもってのことだろうと思うんだけど、なぜデジタルっぷりを徹底させなかったのか? 初めてこの絵を見て以来、それがずっと気になってるんですよねぇ。

『不滅のシンボル 鳳凰と獅子』フラグ

『不滅のシンボル 鳳凰と獅子』フラグ

他にもいろいろ目を惹く作品があったんで、以下徒然なるままに。

彭城百川「天台岳中石橋図 旧慈門院襖絵」。
頭に牡丹の花を載せ、優しげな顔をした獅子がユーモラス。人間に例えると、ごっついオカマてな感じですが、なぜか可愛らしさが感じられて心が和むから不思議。

歌川広重「獅子の児おとし」
切り立った断崖絶壁と突き出した岩、絶壁に取り縋る子獅子と、岩から乗り出して子を見守る親獅子。絶壁といい、岩といい、獅子たちといい、この構図が実にイカしてますね。

ところで獅子の体色ってのはふつうは青なんですが(獅子舞の獅子頭は赤いけど)、ここに描かれた獅子は実際のライオンと同じような茶色をしています。
絵として見たとき、空の水色に対する獅子の茶色はとても映えて美しいので、この配色は大正解だとは思うんですが、珍しいなぁと感じた次第。

沈南蘋「獅子戯児図」。
蘭学が入ってきて、実際のライオンの絵が博物書などで見られるようになった時代の絵だそうで、旧来の獅子とも実在のライオンともつかぬ奇妙な動物に成り果ててます。
しかもなぜかすんげぇタレ目で超臆病そうな動物に見えて、なんか不憫。百獣の王ライオンなのに。

さて前述したとおり、この展覧会は展示替えが多すぎて、最低でもあと1回は訪れないとイカンというのが迷いどころ。
若冲「花鳥図押絵貼屏風」、永徳「唐獅子図屏風」、無銘「唐獅子・白沢図」、広重「禽獣図絵獅子」の4つは取りあえず見たいなぁ。他の3つはいっぺんに見られるんだけど、「唐獅子・白沢図」だけは展示期間が合わない。一体何時行ったもんか。迷うなぁ。

他に、コレだけは見とかなアカンって作品はあるのかな? 諸賢のご教示を乞います。



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