『アートでふれる、うつの心と軌跡展』

2013 / 07 / 17 by
Filed under: 展覧会日記 
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『アートでふれる、うつの心と軌跡展』

『アートでふれる、うつの心と軌跡展』

先日ネットを逍遥していたら、渋谷ヒカリエ・ホールBで、標記展覧会が開催されるという情報を入手しました。

この展覧会は、精神医学に芸術を導入した世界で最初の活動拠点であるオーストラリアのダックス・センターが所蔵する15,000点以上の膨大なコレクションの中から、うつ病患者5人が描いた31点の絵画作品を展示するものとのこと。

会期は2013年7月8日(月)~7月11日(金)と超短期。
アウトサイダー・アートは気になるジャンル、でも会期は平日のみかー、仕事終わってから渋谷は時間的にムリめだなー、休み取れないしー、と思いつつ、記事を読み進めたら、最終日以外は21時まで開場とのこと。それならなんとかなる、ってんで2013年7月10日(水)、仕事を終えてから、渋谷まで足を伸ばしました。

この展覧会の企画意図は、うつ病患者が制作したアート作品を通じて、うつ病という疾患への理解を深める機会とすること、だそうで、もっぱら精神医療分野の人々をターゲットとし、一般人は想定していなかったっぽいです。
入場時に、職業アンケートを求められましたよ。医師、カウンセラー、薬剤師などの医療従事者なのか、その他なのか。
単なるアウトサイダー・アートに興味がある美術愛好家に過ぎない私は、まずこのハードルの高さにビビっちまった次第。

さて、特に目を惹いた作家はキービジュアルにもなっている作品を描いた Isabella Duncan(1964~)という女性。
アクリル画が5点展示されていましたが、いずれも完成度が高い。

この方は2回の流産を経験して、うつ病になってしまい、その後、うつと多重人格障害と診断されたとのことです。
やはりキービジュアルになるだけあって、《I cried so long I became a mermaid》という題の作品はインパクトが強かったんですが、これは分裂して解離した自己を表現していると思われる、との医師のコメントが付されていました。

なお、イザベラさんは治療を進め、芸術療法の学士、そして、分析心理学と芸術療法の修士号を取得し、現在、アートセラピストとして活躍中だそうです。

他に目を惹かれた作家は Daniel Richards(1939~)という男性。
美術教師をしていた50代後半、心臓発作を起こし、胸開手術を受けたとのこと。その回復期にうつ病が発症してしまったそうです。

クレヨンと水彩を使った作品が4点展示されていましたが、ビビッドな色遣いと造形が面白かった。

ときどき、とてつもないインパクトを持ったイメージに圧倒される体験を味わわせてくれるアウトサイダー・アートですが、ダニエルさんは美術教師、イザベラさんは作家および作品解説には記述されていませんでしたが、会場内に流れていたVTRによると、もともとアーティストだったそうで、やはりズブの素人よりも、芸術の教育や素養がある人の方が完成度の高い作品が作れるのかなぁ、ということを感じました。絵心ってのはアウトサイダー・アートでも重要なのかもしれぬ。

と言いつつも、もうひとり出品作家にイラストレータの男性がいて、作品が3点展示されていましたが、そちらには、あまり興味をそそられませんでした。



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